企業を成長させる方法の1つは社員が力を合わせて、同じ目標に向かって行動することです。社員にまとまりが出ると会社全体の力も大きくなります。
社内の意識を1つにしたいならぜひ設定するべきなのがミッションです。ミッションとは使命や目的といった意味で、会社の方向性を決めるものです。大きく成長している有名企業の多くがミッションを持っています。
一方で中小企業の中にはミッションを設定していないというケースが少なくありません。ミッションはあってもなくても同じだと思うかもしれませんが、実は会社に合ったミッションを持つだけで、企業全体に大きなメリットをもたらしてくれます。
そこで、今回は中小企業がミッションを作らなければいけない理由をご紹介していきます。また、ミッションの効果を高めるには良いミッションを作ることが欠かせないので、作るときのポイントについてもご説明します。
会社にミッションがない、これからミッションを作ろうと考えているという方はぜひ参考にしてくださいね。
企業の方向性を決めるミッションとは
ミッションとは使命や存在目的という意味で、どんな未来を目指すのか、なぜその企業が存在するのかといったことを端的に表したものです。
会社にミッションがあると、進むべき方向性が明確になります。すると社員が同じ方向を目指しながら行動するようになるので、組織にまとまりが出てきます。
会社の使命を言語化することは簡単なことではありませんが、企業に様々なメリットをもたらすので、ミッションは作っておくのが理想的です。
中小企業がミッションを作るべき理由8つ
ミッションはただの言葉だから設定してもあまり意味がないのではと思う方もいるかもしれません。しかし、ミッションは企業全体や社員一人一人に良い効果をもたらしてくれます。
そこで、中小企業がミッションを設定すべき理由をご紹介していきます。
- 経営判断の軸になる
会社を経営しているとあらゆる場面で判断が必要になります。そんなときに役立つのがミッションです。
ミッションは企業の経営の方向性を示すものなので、ミッションを踏まえて経営判断をすることで軸がブレずに最適な判断をすることができます。
反対にミッションがない場合、企業が目指したい方向から外れるような決断をしてしまう恐れがあります。
- 会社の成長速度が速くなる
ミッションが社内に浸透すると、社員全員が同じ方向を向きながら仕事をするようになります。すると、会社の成長速度が速くなります。
一方でミッションがなければ社員はそれぞれの価値観を大事にしながら仕事に取り組むため、会社が目指す方向に向かって成長することができなくなります。
このように、ミッションは社員の意思をまとめるためのツールでもあります。
- 社員のモチベーションが上がる
目指すべき目標がミッションによって明らかになると、社員は明確なゴールを掲げられるようになります。すると、その達成に向けて仕事に励むようになるので、仕事のモチベーションが上がるというメリットがあります。
目標が明確になるとどのように行動すれば良いかも分かるようになるため、成果も出やすくなるはずです。
- 社員の定着率が上がる
ミッションに共感した社員は会社に対して愛着感を持ち始めます。愛着感を持つと仕事に励むようになるのはもちろんのこと、長く会社に勤めるようになります。こうした社員が増えれば会社の離職率が下がります。
会社を辞める人が多いと、その分採用する必要が出てきます。新しい人材を採用するときにはそれなりにコストがかかるもの。つまり、社員の定着率が上がれば採用にかけるコストを減らせるという魅力もあります。
- 社外へのアピールになる
ミッションは社内に限らず社外にもアピールしていくものです。ミッションをサイトに掲載したり、パンフレットに掲載したりすれば取引先やリードの目に留まります。
すると、ミッションに共感したことがきっかけで契約に繋がることもあるでしょう。また、その場合は長く関係が続く重要なパートナーになる可能性も高いです。
どんなビジネスでも競合がいて、顧客はその中から最適な企業を選ぶことになります。その中で、ミッションを掲げることは差別化の1つの手法になります。
- 会社に合う人材が集まるようになる
ミッションは就職活動や転職活動をしている人へのアピールにもなります。ミッションを通して会社が目指しているものを示せば、その内容に共感した人が応募するようになるので、会社の色に合う人材が集まるようになります。
社風に合わない人が入社すると、しばらく働いてから「こんなはずじゃなかった」と気づき、早々に退職してしまいます。ミッションは社員の離職を防ぐのにも効果的です。
- 就職希望者が増える
社員がミッションに共感し、会社への愛着が湧くと、知人に自分の会社の素晴らしさについて積極的に話すようになります。すると、周囲の人の企業に対する評価は上がり、さらにそこから良い評判が広まっていきます。
その口コミをきっかけに「自分もその会社で働きたい!」と思う人が増えれば、就職希望者も増えるでしょう。
- 人事評価の基準になる
ミッションは人事評価の基準の1つになります。人事評価の基準が不透明だと、評価次第では社員は会社に対して不満を持ってしまいます。
しかし、ミッションに合った行動ができている人材を高く評価するようにすれば、判断基準が明確なので、社員も人事評価に納得するようになります。
中小企業のミッションを作るときのポイント9つ
ミッションはこのように企業の成長に繋がったり、社員のモチベーションを上げたりと様々なメリットを生み出します。
それだけにどんなミッションを作るのかは非常に重要です。ミッション作りで失敗してしまえば企業を理想の状態に導くことはできません。
そこで、次にミッションを作るときに押さえておきたいポイントをまとめました。
- 経営に関わる社員全員で作る
ミッションは経営に関わる社員全員で作るようにしましょう。経営に関わる人間は会社の行方を大きく左右する存在です。それだけに、自分の知らないところで納得できないミッションが出来上がり、それを浸透させようとすれば会社に対して不満を抱くでしょう。すると、仕事のモチベーションを失ったり、退職に繋がったりしてしまいます。
そこで、経営に関わる全員を招集し、納得できるミッションを作ることが欠かせません。
- 起業時に作る
ミッションを作る理想のタイミングは起業時です。起業したばかりの頃は経営が思うようにいかなかったり、社員同士で意見が割れたりと様々なトラブルが起こりやすいです。
ミッションを作れば何を目指すべきかが明確になるので、社員が一丸となり、状況によって適切な行動を取れるようになります。すると、起業をしてすぐでも成果を出すことも可能になります。
- ミッションの定義を参加者に伝える
ミッションの作成を始めるときには、まずミッションの定義を参加者に説明しましょう。ミッションという言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういうものか、なぜ必要なのかを説明できる人は少ないです。ミッションについて誤解したまま作業を進めてしまうと、メンバー同士の意見が合わず、完成したミッションのクオリティも下がってしまう可能性が高いです。
そこで、まず初めに全員のミッションに対する認識を合わせておきましょう。
- それぞれが考える案を洗い出す
具体的な内容を考えるプロセスでは、それぞれの案を洗い出すようにしましょう。
多くの案が出ると会社の使命を上手く言語化したミッションを作ることに繋がりますし、他人の意見を知ることで新たな観点に気づき、さらにそれぞれが案を出せるようになります。
メンバーに積極的に案を出してもらうためには、提案しやすい環境を準備しておくことも大切です。
- 意見を尊重し合う
参加者同士で話し合いをするときに重要なのは、互いの意見を尊重し合うことです。話し合いが進む中で、納得できない意見に出くわすこともあると思います。そこで納得できないからと却下してしまうと、提案者はやる気をなくし、それ以降、案を出さなくなる恐れがあります。
誰のどんな意見がミッションに採用されるか分からないので、他者の意見を簡単に否定しないことをルールの1つとして定めましょう。
- 簡潔で分かりやすいミッションにする
ミッションを作るときには文の長さや内容にも注意しましょう。一回読んだだけでは理解できないほど長かったり、内容が複雑だったりすれば浸透せず、誰の共感も得られないでしょう。するとミッションを作っても意味がありません。
そこで、経営陣の思いを反映できていて、且つ簡潔で分かりやすい内容にすることが求められます。
- 社員が共感するミッションにする
良いミッションの定義の1つは社員が共感できることです。日々の仕事に励み、会社を成長させてくれるのは社員一人一人です。もし、その社員の共感が得られなければミッションは浸透せず、作った成果も出ないでしょう。
社員が共感し、その実現のために働きたいと思うようなミッションを作ることを目指しましょう。
- 全員が納得するまで妥協しない
メンバーが多ければ多いほどミッションを作るのは大変なはずです。それでも全員が納得するまで妥協せずに内容を練り直しましょう。
数人の反対意見を押さえて完成させれば時間がかからず楽かもしれませんが、反対のメンバーは会社に対して不満を抱くことになります。数人のメンバーを納得させることができなければ他の社員に共感してもらうことも難しいでしょう。
- 外部の力を借りる
ミッションを自社だけで作成するのは非常に骨の折れる作業です。なぜなら何度も会議を開き、納得できるまで何度も修正をしなければいけないからです。また、社内の人間だけで社員や社外の人の心を揺さぶるようなミッションを作れるか、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
もし、社内の人間だけでミッションを作るのが大変であれば外部の力を借りるという方法があります。会社のミッションを作るサービスを提供している会社に依頼すれば、経営陣がミッション作成に関わる時間を最小限にすることができ、さらにプロの手によってクオリティの高いミッションを作ることができます。
中小企業のミッションが完成した後にすべきこと3つ
ミッションが完成したらそれで終わりではありません。ミッションを作ったらそれを浸透させるために対策をしなくてはいけません。
そこで最後に、ミッションが完成してからすべきことをまとめていきます。
- 社員に共有する
ミッションを定着させるためには社員に浸透させることが欠かせません。そこで、完成したら社員に共有しましょう。社内の掲示板に掲載したり、社内誌があればそこで紹介したりするのはもちろん、社員が集まる会議で発表するという方法もあります。
ミッションは会社の方向性を示すものなので、ただ完成したことを知らせるだけでなく、日々意識しながら仕事に取り組むように呼びかけましょう。
- 社外にPRする
社外にも積極的にミッションをアピールしていきましょう。社外に拡散するには企業サイトでミッションができたことを報告したり、ミッションを紹介するページを作ったり、企業パンフレットに掲載したりと色々な方法があります。
また、リードや取引先との商談中にアピールすれば、ミッションを知るだけでなく、会社に共感するきっかけを作ることができます。
- 時間をかけて定着させる
ミッションはすぐに定着するものではありません。社内や社外に浸透させるためには数ヶ月以上の期間がかかります。そこで、ミッションを発表してからしばらくしても変化が見られなかったとしても、焦らずに定着させるための施策を淡々をこなしていきましょう。
まとめ
ミッションとは企業の使命や存在意義を言語化したものです。ミッションを設定していると経営判断の軸になったり、社員のモチベーションが上がったり、社風に合う人材を雇用できたりと様々なメリットがあるので、企業はミッションを設定しておくのが望ましいです。
ただし、会社の思いを上手く反映したミッションでなければ効果は薄くなるので、今回ご紹介したポイントを押さえながら周りの共感を引き起こす良いミッションを作りましょう。