はじめに

今回は、「商売の要衝(チョークポイント)とは何か」というテーマでお届けしていきます。

最近の情勢下によって、地政学が注目されていて、チョークポイントという言葉も、地政学でよく用いられる言葉です。

ちなみに、チョークポイントというのは、重要な通り道という意味で、主に、海上における重要な要衝を指し示すことが多いようです。

A地点からB地点まで行く上で、避けては通れない関所のような場所で、戦争や海上封鎖、制裁などを科す際にも用いられる概念と言えます。

さて、地政学におけるチョークポイントの意味がわかったところで、商売におけるチョークポイントには、どのようなものが考えられるでしょうか。

今回のテーマでは、この点について考察を加えていきたいと思います。

商売における「避けて通れない道(チョークポイント)」

商売という概念が成立する上で、必要な部分というのは、大きく分けて4つあります。

まず1つ目は、「売るもの」です。食べ物や飲み物のように、物体や実体のあるものもあれば、概念やサービスのように形のない無形のものを売っている場合もあるかと思います。

しかしながら、売るものが何もないということはないでしょう。ただでお金が発生するという仕組みがあれば別ですが、それは単に恵んでもらっていることになり、商売とは言えないからです。

次に、知ってもらう段階ですね。広告や宣伝、認知を広めるための広報活動です。

商品を作ったとしても、そもそもその商品について、誰も知らなければ、誰も買うことはできません。

そのため、この部分に関しても避けて通ることはできません。

これが2つ目です。

3つ目は、実際に販売をして商品やサービスを提供する段階です。

この時に初めて、商売が成立すると言えます。

なぜなら、いくら商品があって、それを広報活動を通して、認知を広めたところで、買ってもらわなければ、商売は成立しないからです。

最後に、4つ目が、それを繰り返し買ってもらうか、継続して購入してもらう段階です。

商いの基本構造として、この4つのチョークポイントがあると見ています。

どのような事業でも、この4つに関しては、避けて通ることはできません。

反対に言えば、この4点を抑えていくことは、今後の事業を考えていく上でも避けては通れません。

では、この4点のチョークポイントをどのように活用して、事業に役立てていけばよいのでしょうか。

次の章では、この点について、考察を進めていきます。

要衝(チョークポイント)に事業を構える

結論から伝えると、先ほどの章で紹介した避けては通れない要衝(チョークポイント)に、事業を構えるのが、合理的な選択肢です。

というのも、どの事業もそこを避けて通ることはできないからです。

反対に言えば、要衝(チョークポイント)を外すということは、顧客の側から、通り道でもないところから、わざわざ来てもらう必要があるため、また別の策を練る必要があります。

そのため、基本的なスタンスとして、どの事業も絶対通る通り道に、自らの事業を構えるのが筋であると言えます。

これは、自らの事業単体においてもそうなのですが、自身の事業と顧客の事業の関係性構築においても同様です。

どういうことかと言うと、安定して事業収益を出している事業体ほど、自らが行っている事業を、顧客企業の行っている事業の通り道として組み込んでもらっているということです。

前提として、顧客企業に大きなメリットがなければ、自らの事業は選ばれませんし、顧客企業にとって、まったく意味のない損な取引となりますが、

顧客が利益を拡大する上で、重要な要衝として、自らの事業を活用してもらえば、顧客企業の収益にもつながりますし、自らの事業基盤の安定化を図ることもできます。

しかしながら、ここが難しいところでもあるのですが、プロフェッショナルとしての専門性を有していないと信頼を得るのが難しいのですが、

一方で、顧客企業ごとに、その企業の要衝(チョークポイント)は、異なります。

つまり、いくら自らの事業に専門性を有していたところで、それが顧客の商売の通り道(チョークポイント)になっていなければ、自らの事業を活用してもらうことは困難と言えます。

よって、それぞれの顧客企業ごとに違う商売の要衝を把握し、オーダーメイド的に、その企業に合った自らの事業展開を図る必要性があります。

では、どのようにして、顧客企業の要衝(チョークポイント)として、自らの事業を活用してもらう流れを組み立てていけばよいのでしょうか。

最後にこの点について、考察を広げていき、今回のテーマを終えたいと思います。

内製化と外注化の要衝(チョークポイント)

相手企業がどのようなスタンスで事業を運営しているかによるのですが、大きく分けて2つの流れがあります。

それが表題にも上げた通り、内製化と外注化です。

一見すると、スモールビジネスほど外注化していて、大きな企業ほど、自社で何でもやる内製化に重きを置いているようにとらえられがちです。

しかしながら、実際には反対で、スモールビジネスほど自分で何でも抱えがちで、大きな事業者ほど、かえって、外注化に力を入れています。

事業の体力があるから、それができるという向きもありますが、それも反対で、実際にはそこまでの体力はないからこその外注化と言えます。

そして、自社の社員によるリソースには限界があるため、そこに限ってしまうと、自社の社員のリソースの限界が、そのまま自社の事業の限界になってしまいます。

ですが、この事業の構造と限界こそ、自らの事業運営を考える上で、重要な要衝(チョークポイント)になります。

というのも、顧客企業が内製化にリソースを振るにしても、外注化に振るとしても、それぞれの方法で、それぞれに限界があり、顧客企業の構造上の問題点とリソースの限界は消えないからです。

内製化にはもちろん限界がありますが、実際には外注化にも限界があります。

そして、この両方の道筋で限界があるという点こそ、避けては通れない要衝(チョークポイント)なのです。

そこで、ここに自らの事業を構えていくと、顧客企業の生み出され続ける限界や問題点は、継続的に解決され、同時に、自らの事業も継続的に支持してもらえることになります。

おわりに

今回は、「商売の要衝(チョークポイント)とは何か」というテーマでお届けしてきました。

自らの事業が、顧客企業から見て、何屋さんかわかるということはもちろん大切なのですが、それ以上に、そのわかりやすさは何のためのものなのかを考えていく必要があります。

同時に、顧客から見れば、自らの事業が何屋さんかどうかは、さほど重要ではなく、それが顧客企業の商売の通り道(チョークポイント)として、活用できるものなのかが試されていると言えます。