はじめに

今回は、「嫌な気持ちを残すための商売」について、お話をしていこうと思います。

普通は、反対ですよね。

良い気分を残すためのものではないにしても、誰も相手に嫌な気持ちを残そうと思って、商売をしている人はいないかもしれません。

しかしながら、何かお土産を持って帰ってもらおうと、力を尽くす方法もあるのですが、「思いっきり相手に負の感情を抱かせる方法」を考えることで、

方針の穴を見つけることができたり、現在取り組んでいる事業を鏡に写すことができます。

そこで、今回は「嫌な気持ちを残すための商売」というテーマでお届けしていきます。

嫌な気持ちを残すための商売

反対から考えて見るという手法は、とても一般的ではあるのですが、実際に、反対から見てみた結果、思わぬ発見があることがあります。

今回も、その1つで、商品やサービスを売ることについて目を向ける時、その商品やサービスがどのようにすれば売れるのかを考えていくのが一般的です。

そして、集客はどのようにするか。販売方法はどのようにするか。売った後のフォローをどのように展開させていくか。集客から販売、アフターフォローに至るまで、循環型のビジネスモデルを構築するためには、どのような展開が想定できるか。などなど。

上げていくとキリがないものです。

ただ、嫌な気持ちを残すための商売方法はいたって簡単で、相手の期待値を大きく下回ることができれば、それで完了します。

だからこそ、詐欺商品はなくなりませんし、うまくいかない商売もなくなりません。

期待値を上げれば上げるほど、それが達成しなかったときの落差も大きくなり、結果として、相手に嫌な気持ちを残す商売になると言えます。

詐欺商品の要素は、「一般的には無理だと思われている理想」と、それを叶えられそうな「目の前の商品」によって、構成されています。

無理だと言われ、無理だと思えるような事柄だからこそ、目の前に解決できそうな商品やサービスがあった際に、それを購入してみようという気になるのです。

このように見ていくと、「売る」という所作は、「買う」という所作でもできており、「買う」を見ていくことで、「売る」が見えてくると言えます。

では、なぜ「買う」を見ると、「売る」が見えてくるのでしょうか。

次の章では、この点について、考察を進めていこうと思います。

「買う」ことで、「売る」が見える

基本的に、現在の世の中は、分業制です。

世の中のありとあらゆる商品やサービスを、イチから自分で作っていたのでは、人生は足りませんし、「誰かの仕事は誰かの仕事でできている」からこそ、自らの仕事もまた成立しうると言えます。

そして、「売る」は「買う」でできていますし、「買う」もまた「売る」でできています。

そうした関係性にあるからこそ、「買う」を見つめることで、「売る」が見えてきます。

頭の中で、想定することはいくらでもできるのですが、1の購買は、100の想定に勝ります。

実際に買うことによって、買っていない人にはわからない、「あぁ、そういうことなのか」が見えてくるからです。

だからこそ、「お客様の声」というセールス方法が、今もなお活かされており、重要な位置を保つことができていると言えます。

いくら販売者が、その商品やサービスについて語ったところで、ポジショントークの域を出ることはないからです。

そして「お客様の声」は、多少の加工や編集がなされているにしても、「実際に買った人の声」を映し出しています。

そのため、その商品やサービスに興味のある別の人が、参考になるかどうかの指標として、用いることができると言えます。

では、どのようなサービスや商品においても、「買う」を見ていくことで、「売る」が見えてくると、「購入しようとしている人」は、何に対して不安を感じているのでしょうか。

最後にこの点について、考察を進めていき、今回のテーマを終えようと思います。

「購入しようとしている人」の不安

さて、購入しようとしている人の不安についてです。

これは、普段買う側でもある人であれば、誰もが感じることですよね。

では、それは一体何なのでしょうか。

それは「うまくいく」ことよりも、「悪いものをつかまされないかどうか」という不安です。

言い換えれば、実際に買った商品がいいものだったかどうか、あるいは、失敗した買い物だったかどうか、ということ以上に、

悪いものを良いものであると考えて、実際に購入してしまった自らの判断の失策のほうに、視点が向いていると見えます。

つまり、買った商品の是非ではなく、買った自分の是非に対して、不安を抱いていると言えます。

この点、会社経営者が自社の商品やサービスを展開させる上で、ある程度失敗を織り込んだ上で、法人として購入している場合と、個人が個人のお金で購入している場合で異なります。

そして、法人格を用いて経営者が購入を判断する場合に比べて、個人が個人で買い物をする場合のほうが、「購入した自らに対する是非」を不安視しがちです。

言い換えれば、購入前は「これ興味あるけど、失敗したら嫌だな」と憂い、買ったら買ったで「これ、さっき買ったけど、本当に正しかったのかな」と思いがちだということです。

よくBtoBという言い方がありますが、実際のところ、本当の意味で、BtoBという商売は存在しません。

なぜなら、法人格と言えども、最終的な判断をしているのは、経営者である個人だからです。

見方を変えれば、どんな商売もBtoCであって、こうした視点から、購入を検討している人に対してアプローチすると同時に、購入した後の人についても、こうした視点が必要であるように見えます。

おわりに

さて、今回のテーマは、「嫌な気持ちを残すための商売」というテーマでお届けしてきました。

売れる方法も、価値ある方法も、価値をあるように見せる方法も、この世にはあふれています。

ですが、相手に嫌な気持ちを残すために、商売を思考する人はいません。

そんなことをしたところで、売れるようになるわけではないからです。

しかしながら、実際には反対で、価値ある商品を考えたり、価値ある手法を考えたり、相手に良い思いをしてもらおうと考えたところで、

他の人と同じような発想しか出てきません。

そして、そうした手法は仮に相手に良い思いを抱かせたとしても、それで終わってしまいます。

なぜなら、「良い思い」を抱かせることが目的となってしまっているからです。