ブランディングと聞くと、大企業がやることで、自分たちのような中小企業にはあまり関係がないと思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、中小企業でもブランディングは大切です。なぜなら、中小企業の数は非常に多く、その中から選ばれるためには顧客に魅力をアピールしなければいけないからです。
もし、ブランディングをしなければ他の企業との違いや自社ならではの魅力が伝わらず、集客に苦戦し、売上を上げていくことが難しくなるでしょう。
ブランディングはコンセプトを決めて、それを社内に徹底して浸透させることが大事です。中小企業は規模が小さく、社員数も少ないため、ブランディングを浸透させやすい環境です。つまり、ブランディング戦略が成功する可能性が高いといえます。
このように、名前が知られている大企業だけでなく、中小企業もブランディングに力を入れるべきですが、具体的にどうすれば良いか分からないかもしれません。
そこで、今回は中小企業が顧客に選ばれるためのブランディングの進め方を解説します。売上を上げたい、競合に負けない会社にしたいという方は必見ですよ。
中小企業にとって重要なブランディングとは
ブランディングとは他にはない魅力や強みをアピールし、それに共感してもらうことで、顧客にとっての価値を高め、選ばれるようにする戦略のことです。
ブランドと聞くと値段の高い商品を扱う会社や、大企業を連想する人も多いと思いますが、中小企業の経営を成功させるためにも重要なものです。
特に現代では、以前に比べると世の中を行き交う情報量が格段に増え、サービスを受けたいと思ったときに、たくさんの選択肢の中から検討できるようになりました。そのため、競合との違いをアピールし、選ばれるようにする重要性が高まっています。
ブランディングを成功させるためには自社や市場の調査、分析、コンセプトの決定など必要な手順を踏んで準備をする必要があります。
高単価の商品でも売れる。中小企業がブランディングをすべき理由6つ
これまでブランディングとは無縁で経営してきたからこそ、ブランディング戦略を進める必要はないと感じる方も多いかもしれません。しかし、ブランディングは中小企業に色々なメリットをもたらします。
これから中小企業がブランディングをすべき理由をまとめていくので、ぜひどんなメリットがあるのかを知ってください。
- 競合が多い
日本にある企業のうち、99.7%が中小企業です。つまり、中小企業の競合はたくさんあり、ターゲットはその中からサービスを購入する企業を選ぶことになります。
もし、何の魅力も強みも打ち出せなければ、ターゲットの目に留まらず、あなたの会社ではなく他の企業を選ぶことになるでしょう。
たくさんの競合の中から「ここにお願いしたい」と思ってもらえるような企業にするためにもブランディングが必要なのです。
- 価格競争に巻き込まれなくなる
他の企業との差別化ができなければ、顧客に選ばれにくくなります。すると、少しでも売上を伸ばすために商品やサービスの価格を下げることになります。
しかし、価格で勝負をし始めると苦しい未来が待っています。競合の中であなたの企業が一番安ければ顧客の数は増えるかもしれません。しかし、他の企業がより安いサービスを提供し始めれば途端に客足は遠のくでしょう。そこから以前の顧客数に戻すためにはさらに値段を下げるしかありません。このように価格競争に巻き込まれ、どんどん利益率が下がってしまいます。
また、価格で判断するお客様は他に安いところが出てくるとそちらに流れるため、リピーターになりにくいという問題点もあります。
一方で、ブランディングをして他の企業とは違う強みを打ち出していれば、価格ではなく、価値に惹かれた顧客が集まるため、価格競争に巻き込まれず、高単価の商品でも売ることができ、売上も利益も上げることができます。
- 顧客にリピートされ続ける
企業の強みやサービスの価値に魅力を感じているお客様は会社に対するイメージが良く、さらには信頼関係も築けているため、リピーターになりやすいです。リピーターが増えると新規顧客を獲得するための労力を減らせるので、コストも人手も節約することができます。
また、固定の顧客が増えると景気に左右されにくく、売上が安定しやすいというメリットもあります。
- 理想の顧客を獲得できる
後からも詳しく説明しますが、ブランディングでは理想のターゲットを設定し、その人に選ばれるようなコンセプトを考えます。そのため、ブランディングをしている会社は理想の顧客を獲得できるようになります。
理想の顧客に購入してもらえれば、満足度が高くなるため、企業イメージを上げることができますし、口コミや紹介も期待できます。
一方で、商品やサービスを利用してもらえても、顧客がいまいち効果を感じられなかったり、会社との相性が悪かったりすると、ただ一時的に売上が上がるだけになってしまいます。
顧客の満足度を上げ、後の売上に繋げるためにもブランディングは必要なのです。
- 企業に合った人材を獲得できる
ブランディングを伝えるのは未来の顧客だけではありません。就職活動や転職活動をしている人へのメッセージにもなります。
あなたの企業の魅力、叶えたい未来、創業時から大切にしている思いなどをアピールしていれば、それに共感した人が応募してくれるようになります。企業に共感して入ってきた社員は会社との相性が良く、長く会社に居続けてくれるでしょう。
ブランディングには会社の離職率を下げるという効果もあるのです。
- 社員の仕事へのモチベーションが上がる
企業がブランディングを打ち出すと、社員もそれを意識するようになります。会社の思いや向かっている未来を改めて認識すると、それに対して誇りを持ち、モチベーションを高く持ちながら働くようになるでしょう。
すると、仕事に身が入るので、業績の向上に繋がるかもしれません。
中小企業がブランディングを進める上で大切なこと
大企業は社内にマーケティング部門を置いて人材を育てたり、ブランディングのコンサルティング会社に依頼したりと、ブランディングに大きな予算を充てることができます。
しかし、中小企業にはそのような予算を準備できないことがほとんどではないでしょうか。そのため、中小企業がブランディングを進める際は少ない予算でも正しい順序に沿って丁寧に戦略を練ることがポイントになります。
大企業に比べるとブランディングをしにくい環境に思えるかもしれませんが、中小企業は規模が小さいため、会社について深く知っている人が多く、社内だけで話を進めても議論が深まりやすいです。また、社内へブランディングを浸透させやすいというメリットもあります。
中小企業のブランディングを決める3つのステップ
ブランディングを成功させるためには正しい手順に沿って進めていくことが欠かせません。
そこで、ブランディング戦略に必要な3つのステップをご紹介します。
- 現状把握
ブランディングとは会社の強みや魅力をアピールするものです。だからこそ、自社について理解を深めることが欠かせません。
具体的にどのようなことを掘り下げればいいのかいくつか例をご紹介します。
- 企業の特性
あなたの会社にはどんな特性があるのかを考えてみましょう。例えば、他の企業にはない自社の魅力や要素は何でしょうか?
企業の歴史を振り返ったり、社長や長く勤めている社員にインタビューをして、どんな特徴を持つ企業なのかを聞いたりしてもいいでしょう。
- 企業の実績
企業の実績もブランディングをする上でぜひ掘り下げるべき項目です。これまでどれくらいの顧客にサービスを提供してきたか、どの地域の顧客が多いか、顧客の反応はどうかといったことを調べれば、アピールポイントが見えてくるかもしれません。
- 商品やサービスの内容
企業が販売している商品やサービスについても分析しましょう。どれくらいの売上を作っているのか、売れ筋は何か、どんな人に向けた商品なのか、それを使った人はどうなるのかといったことを改めて考えてみましょう。
- 顧客の特性
ブランディングでは理想のターゲット像を設定し、それに向けたコンセプトづくりをします。そのためには今どのようなお客様にご利用いただいているのかを知る必要があります。
今の顧客の特性を分析すれば、どのような層にアプローチすれば成果が出やすくなるかが分かるでしょう。
- 市場での立ち位置
競合に負けない企業にするためには市場調査も欠かせません。市場でどれくらいのシェアを占めているか、どんな競合がいるかを調べましょう。
- 顧客からどう認知されているか
ブランディングは顧客に会社の強みやアピールポイントを理解してもらい、価値を感じてもらうことを目標としています。そのため、現時点で顧客が企業をどんなイメージで捉えているかを明らかにしましょう。
- ターゲット設定
次に行うのがターゲット設定です。自社の商品の特徴や競合の特性などを踏まえつつ、どの層に狙いを定めてブランディングをすれば成果が出るのかを考えてみましょう。
ターゲットは性別、住んでいる地域、年齢など、詳しいところまで掘り下げて具体的な顧客像が浮かぶようにするのがポイントです。
- ブランドのコンセプトの決定
最後に行うのがコンセプトの決定です。ここで決まったコンセプトに基づいてブランディング戦略を進めていくため、非常に重要なプロセスです。
- 自社が持つ強みを整理する
最初に行った現状把握の結果をもとに、会社が持つ強みや良さを整理しましょう。他の企業にはない自社ならではの魅力を考えてみてください。
「ここを強く打ち出したい」という主観的な目線ではなく、分析で得られた結果をもとに客観的に考えるのがポイントです。
- 自社の強みを伝えられるコンセプトを考える
ブランディングを通して伝える強みが決まったら、それが見ている人に伝わるようなコンセプトを考えましょう。ブランディングで成功している他社のやり方を真似るのではなく、あなたの会社のターゲットに伝わるようなコンセプトにすることを意識しましょう。
中小企業のブランディングを浸透させる方法4つ
ブランディングはコンセプトを決めたらそれで終わりではありません。見込み客やあなたの会社について調べた人に狙ったように認識してもらえるよう、ブランディングを浸透させていかなくてはいけません。
最後にその方法をまとめていきます。
- 様々なメディアのデザインを統一する
まず、ホームページ、パンフレット、企業ロゴなどあらゆるもののデザインをブランディングに沿ったものに統一しましょう。どこを見ても同じデザインが目に入るようにすることで、見ている人にイメージを植え付けることができます。
外部の人が見るものだけでなく、社内で使う資料や掲示板などでもデザインを徹底させましょう。
- 社員にブランディングを周知する
企業のブランディングを浸透させるためには社員の協力が欠かせません。そこで、ブランディングが決まったら社員に伝え、それを徹底するように要求しましょう。
顧客と接することが多いのは現場で働く社員なので、その人達にブランディングを意識してもらえば社外にも広まりやすくなります。
- 一度決めたブランディングは徹底する
一度ブランディングの方向性が決まったらしばらくはそれを一貫して続けましょう。「こっちの方が良かったかも」と途中で別のブランディングを取り入れてしまうと、発信するメッセージがブレてしまい、狙ったイメージを植え付けることができません。
また、一貫性がないせいで信頼性に欠ける会社だと思われてしまう恐れもあります。
- 定期的にブランディングの成果を検証する
ブランディング戦略を始めて一定期間経過したら、理想のターゲットに響いているか、顧客の認知は狙ったものになっているかといったことを検証しましょう。
もし、計画と違う結果が出ていたら改善策を考え、再度違った方法でブランディングを進める必要があります。
時代背景や市場の動向は常に変化し、それによって適切なブランディングも変わっていくので、定期的に振り返りをするようにしましょう。
まとめ
ブランディングは競合が多い中小企業にとって重要な経営戦略の1つです。競合との違いをアピールすることができたら、売上が上がったり、リピーターが増えたりと色々なメリットを得ることができます。
中小企業はブランディングに大きな予算を割くことが難しいかもしれませんが、手順に沿ってプロセスを進め、社員同士でアイデアを出し合えば企業に合った良いブランディングが見つかります。
まだブランディングを進めていないなら、ぜひブランディング戦略を進めましょう。