営業には2つの種類があります。

1つは客先に直接訪問する訪問型営業のフィールドセールス、もう1つは電話など社内でできる営業を行うインサイドセールスです。

これまでフィールドセールスが主流で営業といえばこちらを思い浮かべる人が多かったと思いますが、近年はインサイドセールスを取り入れる企業が多くなっています。

なぜならこれまでのフィールドセールスにはない様々なメリットがあるからです。

ただし、インサイドセールスはただ電話やDMなどで見込み客とやり取りをすれば良いという訳ではなく、活用するためのポイントを押さえることで営業の結果が出ます。

また、顧客の種類や営業の目的によってはインサイドセールスとフィールドセールスを上手く使い分けることで契約に繋げることができます。

今回はインサイドセールスの特徴やメリット・デメリットなど基本を解説するとともに、フィールドセールスと組み合わせる方法についてもご紹介していきます。

フィールドセールスだけでなくインサイドセールスも取り入れたい、今の営業を変えたいと思っている方はぜひ参考にしてください。

ニーズが高まっているインサイドセールスとは 

インサイドセールスとはこれまでのように見込み客の元へ直接訪問するタイプの営業とは違い、社内に居ながら電話やネットなどを利用して行う営業のことです。

内勤型営業と呼ばれることもあります。反対に訪問型の営業はフィールドセールスと呼ばれます。

元々は国土が広く一軒一軒の建物が離れていることが多いアメリカで生まれた営業方法で、フィールドセールスに比べると移動にかける時間が減って営業数を増やせるという利点があります。

今ではアメリカだけに留まらず、日本でもインサイドセールスを導入する企業が増えています。

かつてインサイドセールスは電話で行われるのが一般的でしたが、現在はネットが普及したことによって営業の方法も多岐に渡っています。

インサイドセールスの具体例4つ 

インサイドセールスの方法には色々なものがあります。

効率よく営業をするにはそれぞれの方法を状況によって使い分けることが求められます。

そこでインサイドセールスの具体例を4つご紹介します。

電話

インサイドセールスは電話による営業から始まりました。

これはつまりテレアポのことで既に導入している企業は多いと思います。

電話による営業であれば会社に居ながらリストに載っている会社に電話をかけていくだけなので、訪問型の営業に比べると効率がとても良くなります。

テレアポで成果を出すにはリストの精度を高くするのがコツです。

メール

メールを使ってインサイドセールスが行われる場合もあります。

メールは複数のターゲットに対して一度に送ることができるので、一件一件かけるテレアポよりもさらに効率よく営業ができます。

ただし、全ての人が本文に全て目を通すわけではありませんし、そもそもメールが読まれない場合も考えられるので、他の方法と併用していくことが求められます。

DM

インサイドセールスではDMを送るという方法もあります。

郵便物なので他の手法に比べるとコストはかかりますが、こちらもデザインを作ってしまえばあとは送るだけなので楽に営業ができます。

DMは反応がなくても同じ相手に定期的に送ることで認知度を高めたり、記憶に残ったりする効果があるので、計画的に運用していく必要があります。

Web会議

より深く見込み客にアプローチを行う場合はWeb会議を利用してインサイドセールスを行います。

最近は実際に相手と会わなくてもこうしたオンラインの会議システムを使うことで商品の説明をしたり、セールスをしたりすることができます。

電話、メール、DMは認知を広げたり、顧客と関係を保ったりするために利用されますが、Web会議は契約の可能性が高い顧客と関係を築きたい場合や、クロージングをする際に使われます。

より多くの見込み客にアプローチできる。
インサイドセールスのメリット9つ 

インサイドセールスにはこれまでのフィールドセールスにはない様々なメリットがあります。

そこでインサイドセールスのメリットをまとめました。

営業が効率的になる

大きなメリットは営業が効率的になることです。

フィールドセールスの場合はターゲットとなる企業を1つ1つ訪問しなければいけないため、その都度移動時間がかかります。

一方でインサイドセールスは社内で行うため、これまで移動に割いていた時間をリードに対応する時間に充てることができます。

つまりインサイドセールスはフィールドセールスに比べて多くの営業数をこなすことができるのです。

営業コストが下がる

インサイドセールスでは電話をかけたり、メールを送ったりするときに多少コストはかかりますが、フィールドセールスでかかる交通費に比べると安く済みます。

また、効率的に営業できるようになることで営業に携わる人の数が減るため、人件費も減ります。

このようにインサイドセールスはリード1件あたりの営業コストが下がるというメリットもあります。

ネガティブな印象を与えにくい

客先に直接訪問する営業は相手に嫌がられるケースが少なくなく、場合によっては自社に対してネガティブな印象を持たれてしまうことがあります。

一方で、インサイドセールスではメールやDMなどを使い、相手の時間を奪うことなくアプローチできるのでネガティブな印象を持たれにくいです。

また、フィールドセールスでは冷たくあしらわれて精神的にダメージを受けてしまう担当者も出てきますが、インサイドセールスならこうした心配もないので社員にとって嬉しい営業方法と言えるでしょう。

初心者でも慣れるのが早い

初心者を訪問型の営業ができる人材にするためには営業に何度も同行させ、時間をかけて育成しなければいけません。

しかし、インサイドセールスの場合は比較的早く一人で業務ができるようになります。

例えばテレアポの場合は手順を決め、それに沿って案内するだけで営業ができるような仕組みを作っておけば、営業未経験の初心者でもすぐに営業ができるようになります。

スケジュールを合わせやすい

実際に顧客に会う営業では集合場所に行く時間とそこから帰る時間を考慮しなければいけないため、長い時間を確保する必要があり、お互いの都合を合わせにくいことがあります。

一方で電話やWeb会議の場合は場所を選ばず、どこに居ても話ができるので、スケジュールを合わせやすいです。そのため、話が出たその日に営業をすることも可能になります。

話が短時間で済む

営業では自社の商品の説明やクロージンングなどメインとなる目的がありますが、名刺を交換したり、アイスブレイクをしたりと他の話題にも時間を使わなくてはいけません。

しかし、インサイドセールスセールスでは名刺交換はありませんし、アイスブレイクも手短に済ませられるので、全体の話が短時間で済みます。

これは営業をする側にとってもされる側にとっても嬉しいメリットです。

在宅勤務が可能

インサイドセールスは電話やネットができる環境さえあれば場所を選ばないので、社内に限らず在宅勤務でも行うことができます。

そのため、コロナ禍のようにパンデミックが起こったときでも営業ができますし、家で働きたいという社員の要望を叶えることができます。

在宅勤務の社員が増えれば交通費の削減にも繋がります。

資料を用意する手間が省ける

営業は様々な資料を相手に提示しながら行います。

そのため営業に行くときには相手に合わせて必要な資料を用意し、印刷して持っていかなくてはいけません。

一方でオンラインでの営業の場合は資料を画面に映しながら説明をするので、わざわざ用意する手間が省けます。印刷代や紙代が浮くのもメリットですね。

PDCAを早く回せる

インサイドセールスは計画を立ててから比較的早く実行に移せるので、効果が出るまでの期間が短くなります。

そのため、営業の戦略を立てて、実行し、効果を見て、次の戦略を考えるというPDCAが早く回せるようになります。

これを繰り返して営業の方法を改善していくことで契約率が高くなり、売上にも繋がります。

インサイドセールスのデメリット3つ 

営業の効率が良くなる、営業コストが下がるなど、様々なメリットがあるインサイドセールスですがいくつかデメリットもあります。

インサイドセールスを上手く活用するためには苦手な部分も知って対処法を考えることが大切です。

そこでインサイドセールスのデメリットについても解説していきます。

信頼関係を築きにくい

インサイドセールスは直接見込み客に会わないため、信頼関係を築きにくいというデメリットがあります。

対面に比べると電話やオンラインでのやり取りは相手との距離があり、こちらの話し方や雰囲気などを完全には理解してもらえません。

このように対面でなければ伝わらない情報もあるので、購入の可能性が高そうな顧客との関係を深めたいときやクロージングなど信頼関係を築くのが大事な場面ではフィールドセールスを取り入れるなどの対応が求められます。

複雑な説明には向いていない

インサイドセールスは複雑な説明も苦手です。

言葉で説明するのが難しいことも実際に会っての営業であれば資料を見せたり、その場で質問に答えたりしながら対応できます。

しかし、電話やメールなどではどうしても説明できる内容に限界があり、複雑な説明をしてもダラダラと長くなり、相手の理解も不十分になってしまう恐れがあります。

そこで複雑な説明はオンライン会議で資料を見せながら説明するか、フィールドセールスに切り替えるのが望ましいです。

その場の雰囲気が分かりにくい

対面で話しているとなんとなく「今の説明が理解できてなさそうだな」、「まだ契約に対して前向きではないな」といった相手の雰囲気が分かります。

こうした相手の様子によってその後のセールスの内容を変えることで契約に結びつくことがあります。

しかし、直接相手と会わないセールスではこうした場の雰囲気を完全には掴めない恐れがあります。

インサイドセールスをするときにはこの点を十分に考慮し、意識して相手の様子を伺うようにしましょう。

インサイドセールスの3つのパターン 

インサイドセールスとは内勤型の営業のことですが、実はインサイドセールスを利用した営業の方法には3つのパターンがあります。

契約を取るにはこの3つの方法とそれぞれの利点を把握して上手く使い分ける必要があります。

そこでインサイドセールスをするなら知っておきたい3つのパターンをご紹介します。

インサイドセールス完結型

まず1つ目は全ての過程をインサイドセールスで完結させるパターンです。

このパターンではリードに対して電話やメールで営業を行い、接触を続け、最終的にはWeb会議でクロージングを行います。

全てインサイドセールスで営業することで、フィールドセールスを行う場合に比べて営業コストは大きく下がります。

また、あまり営業に人を回せない小さな企業でも多くのリードにアプローチできるというメリットがあります。

途中からフィールドセールスにバトンタッチ

途中まではインサイドセールスをして、クロージングの段階になったらフィールドセールスにバトンを渡すという方法もあります。

インサイドセールスによって、ある程度顧客が商品やサービスに興味を持ったところでフィールドセールスを導入することで、インサイドセールスのメリットとフィールドセールスのメリットを両方生かすことができます。

顧客によってインサイドセールスとフィールドセールスを分ける

全てインサイドセールスで完結させる、途中からはフィールドセールスに任せるというようにセールスの方法をはっきり決めるのではなく、顧客によって対応の方法を変えるという方法もあります。

全てのリードが商品やサービスを購入してくれるわけではありません。

契約に至る場合も至らない場合も両方あります。商品を購入しそうにない顧客にまで積極的にアプローチしてしまうとその時間は無駄になってしまいます。

そこでまだ関心が低いリードにはインサイドセールスでの接触を続け、関心が高くなってきたリードに限りフィールドセールスを行うようにすれば時間を有効に使うことができます。

インサイドセールスで成果を出すためのポイント5つ 

インサイドセールスで結果を出すならただ内勤型の営業を取り入れるだけでは不十分です。

インサイドセールスには成功させるコツがいくつかあるのでそれを押さえた上で営業をすることが重要です。

そこで最後にインサイドセールスで結果を出すポイントを解説します。

目標値を設定する

営業では必ず目標値を設定しましょう。

最終的な契約数はもちろん、セミナーへの参加数や訪問アポの数など各段階での目標値を設定しておくことで、成果が出やすい営業になります。

目標を設定していないとなんとなくで作業をしてしまい、結果が出にくくなってしまうので、必ずまず初めに目標を決めましょう。

インサイドセールスに特化したシステムを導入する

インサイドセールスでは顧客管理システムやマーケティングオートメーションツールなど便利なシステムを導入することで効率的な営業ができます。

こうしたシステムは優先順位の高い顧客を導き出せて、さらにメール送信や電話などのアプローチもすぐにできるようになっています。

ツールには様々な種類があるので、インサイドセールスを導入する目的や会社の規模などに合わせて適切なものを選びましょう。

顧客の興味が高まったところでクロージングに入る

インサイドセールスで非常に重要なのが顧客の関心の度合いを見極めることです。

いくら長期的に接触をしている相手でもまだ商品・サービスへの興味が湧いていない段階でクロージングに入ると断られてしまいます。

そこでインサイドセールス完結型の営業でも、途中でフィールドセールスに引き継ぐパターンでも必ず顧客の興味が高まったところでクロージングに入りましょう。

フィールドセールスに引き継ぐときに顧客情報を共有する

インサイドセールスからフィールドセールスに引き継ぐ場合、必ず顧客情報を伝達しましょう。

それまでの顧客とのやり取りが共有されていないと、訪問による営業に切り替わったときに、以前相手がこちらに伝えたことを把握していないという状況が起き、信頼を失ってしまいます。

そこでフィールドセールに切り替わってもリードとの信頼関係が続くように、顧客情報の引き継ぎはしっかり行いましょう。

定期的に振り返りをして改善策を考える

セールスはずっと同じ方法を続けていても成果が良くなることはありません。

成果が出る営業方法を見つけるためには定期的な振り返りが必要です。

最初に決めた目標値と結果を比べ、「なぜ上手くいったのか」、「なぜ目標を達成できなかったか」、「どの要因が結果につながったのか」ということを分析しましょう。

その上で次回の営業に向けた施策を練り、実行することを繰り返していけばやがて反応率の高い営業ができるようになります。

まとめ 

かつては営業といえば直接相手の会社に訪問するのが主流でしたが、ネットの普及とともに社内に居ながら営業をするインサイドセールスを導入する会社が増えてきました。

インサイドセールスの方が効率的にリードをさばけますし、営業コストも下がるなどメリットがたくさんあります。

とはいえ、フィールドセールスにも信頼関係が築ける、複雑な説明をするときに向いているとった利点があり、訪問型の営業が生きる場面もあるので、ケースによって上手く使い分けることが求められます。