はじめに
今回のテーマは、「そもそも人は、なぜ商品を買うのか」です。
よくBtoBやBtoCなど、こちらや相手が個人・法人であるかどうかによって、商売が変わってくるという見方があります。
確かに、個人と法人相手では、お金の使い方や発想、求めているものの違いなど、様々な違いがあることも事実です。
しかしながら、同時に、法人であっても、「人」と入っているように、1つの格であって「人」なのです。
また、法人であっても、最終的に何かを決めているのは、法人という「格」ではなく、人間である「個人」です。
そこで、今回はこうした、よく言われている枠組みだけではなく、そこから、「そもそも人は、なぜ商品を買うのか」という、商いの基本原理を見つめ直していきたいと思います。
なぜ、あの商品は売れていて、こちらの商品は売れないのか。
現在では、IT関連の仕事が大人気で、大学生や社会人向けの学校だけではなく、小学生向けのプログラミングスクールもたくさんあります。
ですが、この手の学校や塾、オンラインスクールは、あまりにも数が多すぎて、選ぶのも一苦労になっていると言えます。
また、プログラミングスクールだけではなく、起業塾も流行っています。
起業塾には、小学生向けのものはないのかと探していくと、さすがにありました。
いくつかのホームページを見てみると、小学生の夏休みの、自由研究の延長にあるようなものは、多いです。
プログミラミングスクールならまだしも、起業塾だと、大学生や社会人が、下手すると数百万円かけて通うようなものなので、
小学生向けにアプローチするとなると、「夏休みの自由研究」的なものが、多くなってしまうのも、やむを得ないところがあります。
ただ、おそらくなのですが、親がちょっと面白い人であれば、「自分より小学生の子どもが稼いでいる」状態を是とすることができるので、
「夏休みの自由研究」的な、体験型アクティビティで終わる起業講座ではなく、通年型の大学生や社会人向けに匹敵する起業塾の小学生版があれば、事業承継をにらんでいる富裕層の親御さんは、入れるようにも見えます。
そして、ここまで触れてきた小学生向けの起業塾の例からも分かる通り、「買う買わない」を左右しているものが、自然と浮かび上がってくると言えます。
それは果たして、どのようなものなのでしょうか。
次に、この点について、見ていきたいと思います。
「良さそうに見えるから」買う。
基本的に、商いというものは、無料お試しがあったとしても、本サービスを無料で提供することはありません。
そうでなければ、商売は成り立たないので、当たり前の事実であると言えます。
でも、そうなると、商品を買う前に、その商品の善し悪しを判断することはできるのでしょうか。
答えは、否です。
そうですよね。当たり前の事実ではあるのですが、商品を買う前に、商品が実際に良いかどうかを確かめることはできません。
これが、10円の駄菓子であれば、試しに買ってみようとなりますが、数百万円の法人向けサービスならば、いくら大きな企業であっても、お試しで簡単にとはいきません。
だからこそ、商品の説明があり、商談というものが存在していて、実際に購入してもらった後も、事あるごとに、商品の説明やサービス提供時の説明を欠かしていないのです。
ただ、こうした事実を差し置いても、結局のところ、「購入します」となってからしか、そのサービスが良いものかどうかはわからないのです。
そのために、良くないものを「良さそうに見せて」買わせられたり、それを防ぐために、同じような商品を慎重に比較して、購入を検討したりしているのです。
このようにして見ていくと、購入の意思決定の段階では、商品を購入しているように見えて、実は商品の「期待値」を購入しているに過ぎないのです。
こう考えると、営業活動という枠組みも、別の視点から見直すことができます。
最後に、商売が、商品の「期待値」を購入しているという枠組みを、営業活動という視点からとらえ直し、この記事を終えたいと思います。
相手の「買いたい」を邪魔しない営業。
会社の経営において、最も重要なのが営業活動です。
売上が成り立たなければ、会社を存続することはできないので、周知の事実であると思います。
そして、その最前衛にいるのが、各社の営業を担うビジネスパーソンです。
彼ら営業パーソンが売りに出かけてこそ、その会社は売上を立てることができ、会社を続けることができます。
ですが、この営業の仕事は、「売る」ことが仕事なのでしょうか。
この章の表題にもある通り、実は反対で、相手の「買いたい」を邪魔しないのが、営業の仕事です。
どういうことかというと、営業の仕事は「自社の商品を売ること」が仕事と思われがちですが、実はそうではないからです。
自社の商品が本当に良いものであれば、向こうからアポイントを取ってくると思います。
そのため、営業は、数あるアポイントの中から、本当に重要で長期的な関係性を結びたい顧客を見抜き、それ以外の顧客は断ることが必要になってくるのです。
もちろん、これは「果報は寝て待て」という話ではありません。
ただ黙っていても顧客は、自社の商品を知らないので、それを周知し、宣伝し、買ってもらうための努力は必要です。
ただ、向こうが「買いたいな」と思った時に、営業が水を差してしまったために、「買う気が失せて」帰ってしまうということは、往々にしてあります。
だからこそ、営業の仕事は、売ることではなく、相手の「買いたい」を邪魔しないことであると言えます。
おわりに
今回は、「そもそも人は、なぜ商品を買うのか」というテーマで、お届けしてきました。
商売が「期待値」を買ってもらう枠組みになっているからと言って、粗悪品を売りつけるような商売をすれば、一瞬で信頼を損ね、その法人は社会によって潰されます。
なので、そうした状況は論外として、やはり、こうした仕組みそのものは理解しておく必要があります。
また、自社の商品を売ることが仕事と思われている営業活動も、相手の「買いたい」を邪魔しないのが、本当の営業活動と言えます。
そのため、相手の「買いたい」気持ちから逆算した商品設計と、営業活動が必要とされてくると言えます。