はじめに

今回は、「時間にゆとりのある経営者だけがもっている「逆ねじ」」というテーマで、お届けしていきます。

そもそもなのですが、なぜ忙しい経営者と、忙しくない経営者が存在するのでしょうか。

よく、時間管理やタイムマネジメントなど、仰々しい言葉で、時間について語られている場面があります。

また、社員の勤務時間など、法的な部分や人事・労務の要素において、時間をとらえる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

経営者本人の時間管理にしても、経営している自社の社員の時間管理にしても、考え方としてはそう大きくは変わりません。

では、今回のテーマである経営者の「忙しさ」という部分から、時間の管理について、考察を進めていこうと思います。

忙しい経営者と忙しくない経営者

さて、ではなぜ、忙しい経営者と忙しくない経営者が、存在するのでしょうか。

変な指摘ではありつつも、大前提として把握する必要があるのは、別に、忙しくない経営者だけが、平均寿命が150年くらいだったり、1日48時間だったりするわけではないということです。

当たり前と思う方も多いと思いますが、忘れている方のために、今一度振り返っておきたい大切な事実です。

寿命に関しては、残念ながら、人によってまちまちかもしれませんが、1日24時間というルールは、どの経営者も同じです。

そして、経営者の体質や日々の習慣にもよりますが、極端に睡眠が短時間で問題のない人を除くと、一般的には6〜8時間くらい、睡眠を取ります。

書籍やニュースなどでも話題に時々上がりますが、一時的に、睡眠を短時間しか取らないことはできても、長期的に、睡眠時間を削って、時間を捻出し続けることは困難です。

むしろ、時間にゆとりのある経営者ほど、睡眠時間は削っておらず、よく寝ています。

日本は、睡眠時間が極端に短い国であるというデータもあるようですが、あれはあくまでも平均値の話であって、

時間にゆとりのある、忙しくない経営者の平均睡眠時間を計測できれば、日本の平均よりも遥かに長い睡眠時間のデータが出るのではないかと推察しています。

もちろん、現在は忙しくすることは減り、時間にゆとりのある経営者であっても、最初からそうだったわけではないことは、言うまでもありません。

むしろ、「休息」や「睡眠」を、会社立ち上げの初期から重視した結果、現在のような結果をもたらしているとも言えます。

この章では、経営者に与えられた、1日に使える時間が同じであることや、忙しくない経営者ほど、よく寝ていて、むしろ1日に使える時間が短いことについて触れてきました。

では次に、別の角度から、経営者の時間について、考えを進めていきましょう。

「時間が買える経営者という立場」の誤謬(ごびゅう)

経営者は、社員を雇い入れたり、外部に協力を求めたりして、業務を進めていくために、周囲の人々の「時間を買っている」から、時間にゆとりがあると、主張する意見があります。

でも、ここで確認しておきたいのは、もしそうだとすると、多くの社員を抱えている法人ほど、そこで経営を回している経営者の時間は、多くなることになります。

ですが、それは本当でしょうか。

この主張から導いていくと、大企業で従業員数の多い経営者ほど、暇ということになりますが、実際にはそうはなっていないですよね。

ここに、この主張のズレと溝が存在しています。

勘違いを生みやすい点でもあるのですが、そもそも会社の経営と事業の運営は似て非なるものです。

どういうことかと言うと、会社の経営を回すことと、その会社が営んでいる事業の、日々の業務を回すことは、まったく別の時間軸であるということです。

だから、従業員数がいくら多くても、忙しい経営者はいなくならないし、反対に、従業員を抱えていなくても、時間にゆとりのある経営者もいなくはならないと言えます。

よって、この視点に限って言えば、経営者が暇になるためには、いくら業務を回す側の人間を増やしても、まったく意味を成さないのです。

では、どのようにしていくと、経営者の時間は増えていくことができるのでしょうか。

最後にこの部分について、考えを進めていき、今回のテーマを終えたいと思います。

経営者の時間を増やす「逆ねじ」

言葉の言い回しの1つに、「逆ねじを食らわす」という言葉があります。

実は、経営者の時間を増やす1つのポイントは、ここにあるのではないかと考えています。

どういうことか説明すると、一時的にはマイナスになるようなことでも、トータルで見ていくとプラスになっていく、という算段とストーリーをつけることができる、ということです。

経営者には、ありとあらゆる仕事が降って湧いてきますが、その仕事を、自分の意志に近い形で、交通整理できる人がいれば、経営者は、そこに時間を持っていかれずに済みますよね。

かつてであれば、秘書を雇い入れたり、仕事を外注することによって、経営者本人は、時間を浮かせることができましたが、現在ではなかなかそうもいきません。

理由は、そうしたことのできる人は、自分自身でも経営ができるくらいの人材で、どこからも引く手あまただからです。

そのため、見つけることも難しいですし、見つけることができたとしても、社員として迎え入れたり、外部協力会社の1つとして加わってもらうためには、相応の待遇を用意する必要があります。

では、どうすればすれば、この問題を解決に導くことができるのでしょうか。

この答えが、冒頭に出てきた「経営者の時間を増やす「逆ねじ」」です。

言い換えれば、今営んでいる事業経営が、うまく行っていることを言語化して表現した上で、事業で解決している「逆ねじ」効果を、経営者の時間や社員の時間管理にも組み込んでいくということです。

見方を変えれば、今のところ「日の目を見ていない」人やモノ、時間に目を向けて、「誰もが手を付けたがらないマイナス」をプラスに転換させるために、経営者は時間を用いるということです。

こうした事実は、誰もが知っていることではありつつも、誰もができているというものでもありません。

だからこそ、忙しい経営者と、忙しくない経営者は、ともに生まれ続けると言えます。

おわりに

今回は、「時間にゆとりのある経営者だけが持っている「逆ねじ」」というテーマで、お送りしてきました。

今回のテーマは、簡単でシンプルな事実ほど、明暗が分かれる典型的な例でもあるように考えていて、

結局のところ、そうした「一時的なマイナス」に、どれだけの時間を割くことができるかどうかで、経営者の時間の「ゆとり加減」も変わってくると言えます。