はじめに

今回のテーマは、「ホームページのとらえ方で、その企業のリテラシーがわかる」です。

現在、ホームページのない企業はほとんど無い、と言っても過言ではないくらいの状況にあると言えます。

また、個人事業やマイクロ法人の起業に差し当たって、銀行や信用金庫から融資を依頼する際にも、

ホームページの有無はもちろん、どのような内容の事業で、先々の事業の見通しはどのようなものであるかを判断する際にも、用いられているようです。

これはもちろん、「融資したお金が焦げ付かないかどうか」を見ているわけなので、ホームページは重要な判断の分かれ目に用いられる、1つのツールであると言えます。

そうしたホームページですが、その企業における「ホームページへの認識(とらえ方)」で、その企業のリテラシーがわかってしまうということも言えます。

今回は、そう言える理由とその説明から、お話しをスタートしていくことに致しましょう。

自社のホームページを、どのようにとらえているのか。

さて、その企業における「ホームページへの認識(とらえ方)」で、その企業のリテラシーがわかってしまう理由です。

それは、作品ではなく営業部隊という認識です。

なぜなら、芸術家のホームページならまだしも、事業を営んでいる法人において、ホームページは作品ではなく、自社で運営していれば、ほぼ無料の営業部隊1個師団だからです。

師団という単位は、軍隊などで用いられることが多いですが、人数にすると6000〜

9000人のようです。

数え方に幅があるとしても、仮に少ない方の6000人を取ったとして、それくらいの人数のインパクトが、ホームページにはあります。

それにも関わらず、芸術家でもない一般の法人が、ホームページにお金をかけた挙げ句、できたことに満足してしまい、更新もそこそこに、運用が事実上ストップしてしまっている企業も見かけます。

もちろん、それでも会社経営が回っているのだとすれば、何も問題ないので、それはそれで良いのかもしれません。

しかしながら、今回の世界的な感染症を含め、いついかなる時にどうなるか、誰にもわからないことが、全世界における共通認識となりました。

それは、日本においても、例外ではありません。

そのため、見方によっては、1つのホームページが、営業部隊1個師団に相当するものであるにもかからわず、そのままでも良いのでしょうか、という話なのです。

ホームページと人間の営業を比較してみる。

ちなみに、法人で1人雇い入れると、そう簡単に雇用を打ち切ることはできませんが、一方で、その雇い入れた人は、人間であるため、休みも必要ですし、帰って寝る必要もあります。

それから、お盆や正月は休ませる必要がありますし、病気や怪我をすれば、当然、その間は働くことができません。

そのため、実際にはもっと少ないですが、仮に純粋に営業のみに当てられる時間を1日6時間として、6000人雇ったとすると、1年間で使える時間は、

6時間×240日(営業日ベース)×6000人=864万時間

です。

一方で、1つのホームページは、24時間365日稼働です。そのため、

24時間×365日=8760時間

を1年間で使うことができます。

日本には、中小零細を含めると、約300万社あると言われていますが、そのうちの1000社(全体の0.03%)が、1年間でホームページを閲覧して、アプローチしたとしましょう。

そうすると、1000社それぞれに、1000人の営業担当がついたと仮定して、

8760時間×1000人=876万時間

です。

ホームページには、移動や疲労などがないため、稼働時間まるまる営業活動に当てることができますが、人間の営業部隊のほうは、移動や休息、打ち合わせまでの待ち時間などを考慮すると、1日8時間も稼働できていません。

このように見ていくと、いかに、1つのホームページが、作品ではなく、大企業の営業部隊に匹敵する力を秘めているかがわかると思います。

だからこそ、その企業が、ホームページというものを、どのようにとらえているかで、その企業のリテラシーが見えてしまうと言えます。

制作で満足する法人と、制作しかできない「ウェブ制作屋」

ここまで見てきたように、人間という存在は、本当に不自由で、様々な制約によって、存在を保っています。

肉体があるので、ホームページのように、光の速度で、顧客や顧客見込みの法人へ行くこともできませんし、ホームページと違って、疲労や物理法則に縛られます。

だからこそ、ホームページができても、満足できないし、むしろ、作った後が本番と言えるのです。

そして、依頼する法人は、社内にチームを立ち上げて、運用を任せることができれば、費用もかからないため、ただの制作屋に任せる必要はなくなるのです。

ただ、資金的に余裕のある大企業ならまだしも、儲かっている中小・零細企業においては、今が良くても、この先はどうなるかわかりません。

そのため、「ウェブ制作」を社内で内製化するにはコストがかかるため、IT関連の企業ならまだしも、まったく別業種において、ウェブ周りに精通した人間を、雇い入れる余裕があるところは、そう多くはないと見えます。

かと言って、経営者自身がそれを行えば、得意だったり、好きだったりするならまだしも、苦手で嫌いならば、時間がかかるばかりで、他の重要な活動に支障が出てしまうのも事実です。

ここまで述べてきたように、ホームページにしても、人間にしても、営業活動を通して、自社に利益をもたらすことが、会社を存続させる上で、最も重要で外してはいけないところだからです。

このように見ていくと、自社や経営者自身で運用するにしても、制作を外部に任せるにしても、どのような考え方で、ホームページをとらえ、どのような視点で、外部制作協力を依頼すればよいか、見えてくるのではないかと考えています。

おわりに

今回は、「ホームページのとらえ方で、その企業のリテラシーがわかる」というテーマで、お伝えしてきました。

基本的に、経営者は自身の事業の舵取りで、忙しくされている方がほとんどです。

そして、社員が多くいて、チームを組んで任せることのできる企業や、外部制作パートナーや信頼できる協力会社がいる企業は、とても理想的です。

しかしながら、そのような環境に身を置ける経営者は、ごく一部であり、大半はチームを組めるほどの社員がいないか、外部制作パートナーや信頼できる協力会社を、その都度探している企業がほとんどです。

このような状況で、どのような発想で、自社のホームページをとらえるかは、自社の経営に直結する重要なテーマであると言えます。