・インタビュー前にすべき準備
・顧客インタビューのやり方
・顧客インタビューで聞くべき内容
顧客インタビューをして、マーケティングに生かしたいと考えているBtoB企業が知っておくべきことを全てまとめました。
BtoB企業が顧客インタビューの前にやるべき準備10選
この章ではBtoB企業が顧客インタビューを行う前にすべき準備をご紹介します。
①顧客インタビューを行う目的を明確にする
②インタビュー対象者像を明確にする
③インタビューの方法を決める
④インタビューを行う場所を決める
⑤インタビューの流れを決める
⑥具体的な質問内容を決める
⑦インタビュー対象者を集める
⑧インタビューの開催日時を調整する
⑨インタビュー対象について事前調査を行う
⑩質問内容を事前に共有する
顧客インタビューを行う目的を明確にする
まず、顧客にインタビューを行う目的をはっきりさせましょう。
なぜなら、目的によって質問すべき内容や、ターゲット像が変わるからです。
例えば、公式サイトに事例を載せるためにインタビューするなら、商品やサービスを使った感想を詳しく聞き出すことが欠かせません。
一方で、商品開発や企画に生かしたいと考えているなら、顧客がどのようなことで悩んでいたか、自社に決めるまでにどんな行動を取ったかといった点にフォーカスする必要があります。
インタビュー対象者像を明確にする
次にインタビューをする企業の条件を設定しましょう。
インタビューの効果を高めるには適切な対象を選ぶことが欠かせません。
条件としては次のようなものが考えられます
- 企業の業種
- 企業の規模
- 商品やサービスの使用期間
- 成果
対象として挙げてもインタビューを断られる可能性もあるため、いくつか候補を挙げておくと安心です。
インタビューの方法を決める
具体的なインタビューの方法を決めましょう。
インタビューには1対1で行う「デプスインタビュー」と、一度に複数に対して行う「グループインタビュー」の2種類があります。
デプスインタビューでは1つの対象について深く掘り下げることができるのがメリットです。
また、他のインタビュー対象者が居ないため、回答内容が他の人の発言に影響されにくいという面もあります。
一方で、グループインタビューは効率よく顧客の意見を集められるのがメリットです。
BtoB企業の顧客インタビューの場合、外部に公開してはいけない重要性の高い情報がインタビュー中に出ることがあるため、デプスインタビューの方が合っているでしょう。
インタビューを行う場所を決める
BtoB企業の顧客インタビューは
- 対面
- オンライン
- アンケート式
といった選択肢があります。
まず、どの形式で行うのかを決めましょう。
対面でのインタビューを行う場合、会場を確保する必要があります。
インタビューの流れを決める
顧客インタビュー当日の流れを決めましょう。
顧客の貴重な時間をいただいているため、準備不足のまま当日を迎えると大変失礼です。
また、既存顧客との関係が悪化することにもなりかねません。
当日の話の流れや時間配分を決めておき、できれば簡単に本番を想定した練習もしておきましょう。
具体的な質問内容を決める
顧客インタビューでは様々な質問をします。
インタビューの目的を達成するために必要な質問をリストアップしておきましょう。
インタビュー対象者を集める
インタビューを行う顧客を集めるため、インタビュー対象に連絡をします。
このとき、
- インタビューの目的
- インタビューでの質問内容
- インタビュー内容の活用方法
- 謝礼
といった情報を伝えた上で依頼しましょう。
インタビューの開催日時を調整する
インタビュー対象とインタビューの日程を調整しましょう。
このとき、余裕を持ってスケジュールの調整ができるよう、インタビューの実施が決まったら早めに顧客に連絡するのがおすすめです。
インタビュー対象について事前調査を行う
インタビューを引き受けてもらえることが決まったら、対象について事前調査を行いましょう。
知識をつけておけば、インタビュー対象からの印象が良くなりますし、聞き出す内容の質も高くなります。
事前調査は
- 企業サイトを見る
- 資料を見る
- 営業担当者からヒアリングをする
といった方法があります。
質問内容を事前に共有する
インタビューで質問する内容をあらかじめ顧客に共有すると、回答を事前に考えてもらえて、当日にインタビューがスムーズに進む効果があります。
BtoB企業の顧客インタビューのやり方5ステップ
この章ではBtoB企業が顧客インタビューを行うときの流れをご紹介します。
①アイスブレイク
②インタビューの流れと目的の共有
③インタビュー本番
④まとめ
⑤インタビュー内容を整理する
アイスブレイク
まず、緊張した雰囲気を和ませるためにアイスブレイクを行いましょう。
顧客から良い話を聞き出すには、リラックスしてもらい、話しやすい環境を作ることが大事です。
そこで、最初に雑談など、他愛もない会話をして空気を和ませましょう。
インタビューの流れと目的の共有
顧客インタビューでは最初に当日の全体の流れと、インタビューを行う目的を共有しましょう。
最初に流れを確認することで「いつまで続くんだろう」と不安が生じるのを防げます。
また、最初にインタビューの目的を提示することで的確な内容を話してもらえて、質の高いお話を聞くことができます。
インタビュー本番
インタビュー中は顧客の話を途中で遮らず、最後まで聞くことを意識しましょう。
顧客が話している間は相槌を打ったり、リアクションを大きくしたりすることも大事です。
まとめ
インタビューの最後には協力していただいたことに対して感謝の言葉を伝えましょう。
また、改めて電話やメールなどでお礼を述べることも大事です。
謝礼やノベルティを用意している場合は忘れずにお渡ししましょう。
インタビュー内容を整理する
顧客インタビューが終わったら、話の内容を文字起こしして、情報を整理しましょう。
その後、目的に合わせて活用しましょう。
BtoB企業の顧客インタビューで聞くべき内容4つ
この章ではBtoB企業が顧客インタビューで聞くべき内容の例をご紹介します。
①抱えていた課題
②情報収集の方法
③他社との比較・検討について
④商品・サービス導入後の変化
抱えていた課題
商品やサービスを購入する前に抱えていた課題を掘り下げましょう。
- どのような課題があったか
- 課題はいつ頃発生したか
- 本格的に解決しようと思ったきっかけ
といったことを聞きましょう。
既存顧客が実際に抱えていた悩みを知ると、見込み客のニーズをより正確に知ることに繋がり、マーケティングで非常に役立ちます。
情報収集の方法
課題を解決するために具体的にどのようにして情報を収集したかを伺いましょう。
この質問からは潜在顧客とのタッチポイントが見え、今後の情報発信の参考になります。
ネットで検索して情報収集をしていた場合、どのようなワードで検索したかも聞き出しましょう。
他社との比較・検討について
比較・検討プロセスについて掘り下げます。
- なぜ競合の中から自社を選んだのか
- 何社くらい比較・検討したのか
- 最終決定までの流れ
などを聞きましょう。
比較・検討の段階における担当者の心情や意思決定の決め手となることを知ることができます。
商品・サービス導入後の変化
実際に商品やサービスを導入してどのような変化があったか、課題を解決できたのかをヒアリングしましょう。
具体的な成果はもちろんのこと、導入してから感じた「気持ち」についてもフォーカスを当てましょう。
ここで聞き出した内容は公式サイトやSNSで「お客様の声」として活用します。
BtoB企業が顧客インタビューを成功させるために大事なこと8つ
この章ではBtoB企業が顧客インタビューの効果を高めるために大事なポイントをご紹介します。
①1つの質問で1つの内容だけを聞く
②オープンクエスチョンで質問する
③問い詰めるような質問の仕方を避ける
④具体的な数字を聞き出す
⑤先入観で回答を誘導しない
⑥インタビュー中に沈黙を作らない
⑦インタビューを録音・録画する
⑧インタビュー内容を分析する
1つの質問で1つの内容だけを聞く
質問をするとき、1つのトピックだけを聞くことを心がけましょう。
1つの質問の中にいくつも内容を詰め込んでしまうとインタビュー対象が混乱しますし、1つの内容を深く掘り下げることができないからです。
例えば「比較検討の際に候補に挙がった会社の名前と、候補に挙がった理由をお聞かせください」という聞き方はNG。
「比較検討の際に候補に挙がった会社の名前を教えてください」
「A社が候補に挙がった理由は何ですか?」
「B社の理由もお聞かせください」
といったように1つ1つ分けて質問しましょう。
オープンクエスチョンで質問する
オープンクエスチョンとは相手に制約なく自由に答えてもらうような質問です。
反対は「クローズドクエスチョン」で、こちらは「はい・いいえ」や選択式で答えてもらうような質問をします。
顧客インタビューの場合、インタビュー対象に率直な考えを述べてもらい、回答を掘り下げるためにも、オープンクエスチョンで質問するのがおすすめです。
問い詰めるような質問の仕方を避ける
顧客インタビューでは「なぜそう思いましたか?」「なぜそのような決断に至りましたか?」といった質問をすることが多いですが、何度もこうした聞き方をすると、問い詰められているように感じることがあります。
そこで、威圧感が出ないような言い方で聞きましょう。
具体的な数字を聞き出す
商品・サービスの導入後の変化について聞く際は、具体的な数字を聞き出しましょう。
数字を使うと導入前後の変化が分かりやすくなるからです。
また、自社の実績を示すときにインパクトを出すことができるというメリットもあります。
具体的な数字がその場ではすぐに分からないという場合は後日教えていただけないか交渉してみましょう。
先入観で回答を誘導しない
インタビュアーは先入観を持たないようにすることが大切です。
先入観があると「それは〇〇ですよね?」というように、無意識のうちに回答を誘導してしまい、顧客の率直な意見を聞けなくなってしまうことがあるからです。
インタビュー中に沈黙を作らない
顧客インタビュー中は出来るだけ沈黙を作らないように意識しましょう。
話の合間に沈黙があると、インタビューされる側は「何か変なことを言ったかな?」「話しにくい」とマイナスの感情を抱いてしまいます。
そこで、相槌を大きく打ったり、話の後は必ずコメントを入れたりして、静まり返ってしまわないように対策をしましょう。
インタビューを録音・録画する
インタビューは録音や録画で記録しましょう。
後に文字起こしをしたり、話の内容を振り返ったりするのに役に立ちます。
録音・録画する場合は、事前に顧客に了解をとりましょう。
また、当日に機器の準備に手間取らないよう、本番を想定して使い方のシミュレーションをしておきましょう。
インタビュー内容を分析する
インタビュー終了後、文字起こしが済んだら分析に移りましょう。
例えば、こんな点を掘り下げましょう。
- 見込み客が抱えている課題
- 課題を抱えている見込み客の心情
- 競合にはない自社の強み
- 自社の商品・サービスの定量的な評価
- 自社の商品・サービスの改善点
- 優先すべきマーケティング施策
BtoB企業にとって顧客インタビューが重要な理由4つ
この章ではBtoB企業にとっての顧客インタビューの重要性をご紹介します。
①顧客の理解度が高まる
②商品・サービスのフィードバックを得られる
③競合他社に対する顧客の意見を知れる
④顧客とコミュニケーションをとる機会になる
顧客の理解度が高まる
まず、顧客から直接考えや思いを聞くことで、顧客への理解度が高まるというメリットがあります。
顧客を深く知ることは企業にとって非常に重要です。
なぜなら、マーケティング施策の成功率が高くなるからです。
顧客インタビューで得られたことは、どんどんマーケティングに活用しましょう。
商品・サービスのフィードバックを得られる
自社の商品やサービスに対して率直な意見を聞けるのもメリットです。
会社としては「ここが強みだ」と思っていても、実際に利用した顧客からは意外な意見が出ることも。
また、使ってみて残念だった点や改善してほしい点も、ブラッシュアップするために大事なポイントです。
耳が痛いこともあるかもしれませんが、ぜひ正直にお話ししていただき、今後に活かしましょう。
競合他社に対する顧客の意見を知れる
既存顧客の競合に対する評価を知る機会になります。
自社とは違う目線での意見はとても貴重で、話から自社の新たな強み・弱みが見つかるかもしれません。
また、競合他社に感じた不満や物足りなさから、見込み客のニーズが見えることもあるでしょう。
この点について分析を徹底すれば、比較検討のフェーズで優位に立つためにどうしたらいいかが見えてくるでしょう。
顧客とコミュニケーションをとる機会になる
顧客と話すことで単純に仲を深められるというメリットもあります。
BtoB企業の顧客インタビューの活用方法4つ
この章ではBtoB企業が顧客インタビューで得られたことを活用できる場面をご紹介します。
①ペルソナ作成
②カスタマージャーニーマップ作成
③企画立案に活用
④導入事例として公式サイトに載せる
ペルソナ作成
顧客インタビューを通して顧客に対する理解が深まったら、ペルソナ設定に落とし込みましょう。
精度の高いペルソナ設定ができると、マーケティング施策の効果は出やすくなります。
カスタマージャーニーマップ作成
インタビューで得られた情報はカスタマージャーニーマップを作る際にも役立ちます。
カスタマージャーニーとは課題を抱えた顧客が自社の商品の存在を知ってから購入に至るまでのプロセスを旅に例えたものです。
既にカスタマージャーニーマップを作成している場合は内容を見直し、必要に応じて修正しましょう。
企画立案に活用
顧客インタビューを通して明らかになった
- 顧客のニーズや課題
- 競合他社との差別化ポイント
- 現在のサービスに対する不満
などをもとに、既存のサービスをブラッシュアップしたり、新商品を開発ましょう。
導入事例として公式サイトに載せる
インタビュー内容を企業サイトに「お客様の声」として載せましょう。
実際に商品・サービスを利用した人の声があると、導入を検討している人にとって非常に参考になります。
また、企業の信頼性も上がります。
導入後の変化については数字を使って分かりやすく説明しましょう。
まとめ
顧客インタビューは顧客の率直な思いを聞ける場で、顧客への理解を深めるのに非常に役立ちます。
インタビューは貴重な時間をいただいて行うので、当日はスムーズに進められるよう、準備を徹底しましょう。
また、インタビューを通して得られたことを整理・分析し、今後の会社運営に役立てましょう。