インターネットが普及した今、会社を経営する上でネット集客は欠かせないものになりました。ネット集客にはSNSで発信したり、広告を出したりと色々な方法があります。

その中でも中小企業の集客として役に立つのがオウンドメディアの運用です。オウンドメディアとは企業が所有、運営、発信する媒体のことで、公式サイトと言うと分かりやすいかもしれません。

オウンドメディアを持っているとリードの獲得に繋がったり、信頼性のある会社だと認識されるようになるというメリットがあり、やがて業績を上げることにも繋がります。

ただし、便利な面がある一方で、オウンドメディアを集客に使うなら知っておくべき注意点もあります。オウンドメディアを最大限活用するためにはメリットもデメリットも知った上で運用することが大切です。

そこで今回は中小企業がオウンドメディアを持つメリットとデメリット、さらにコンテンツ例や成功させるコツをまとめました。ネットから集客をしたい、もっと売上を上げたいという方はぜひ参考にしてください。

オウンドメディアとは

オウンドメディアとは自社が所有・運営し、消費者に向けて発信する媒体のことを言います。

ネットに限らず、企業が作成したパンフレットやカタログのこともオウンドメディアと呼ばれます。

ブログと似ていると感じる方もいるかもしれませんが、オウンドメディアはブログ以外にも自社の商品情報や、イベントの紹介など企業に関わるあらゆる内容を発信するため、サイトから得られる情報量はとても多いです。

オウンドメディアを持てばすぐに売上が上がるというわけはなく、消費者が求める情報を発信して信頼を高めることで顧客の獲得に繋がります。そのため、サイトを立ち上げてから結果が出るまでに時間はかかりますが、信頼という会社を経営する上で欠かせない物を手に入れられます。

中小企業がオウンドメディアを持つメリット8つ 

オウンドメディアを持つ企業は世の中にたくさんあります。多くの企業が自社のサイトを持つのはそこから様々なメリットが得られるからです。そこで中小企業がオウンドメディアを持つメリットを8つご紹介しましょう。

商品・サービスの魅力を伝えられる

企業の売上を作るものは提供する商品やサービスです。オウンドメディアでは商品やサービスの魅力をしっかり伝えることができます。

商品の内容、提供方法、商品を通してどんな変化が生まれるのかといった詳しい情報を載せておけば、商品が持つ価値を見ている人に伝えることができます。

一度サイトに載せればあとは閲覧してもらうだけなので、訪問営業やテレアポのように何度も説明する必要がないというメリットもあります。

リード獲得に繋がる

広告もネット集客の方法のうちの1つですが、広告は本人の意思とは関係なく表示されるため、関心がなければ見られることはありません。

しかし、オウンドメディアは企業に興味がある人が閲覧するため、商品の説明や企業情報を載せておくとそれを読むことで関心が高まり、リードの獲得に繋がることがあります。

そのため、ただオウンドメディアを所有するだけでなく、見ている人に「ぜひ話を聞いてみたい」と思わせるような質の高い記事を書くことが必要になります。

信頼性が向上する

オウンドメディアでは見込み客にとって役に立つ情報をたくさん発信します。自社の商品やサービスによって解決できる問題について解説したり、未来の顧客が抱えていると思われる問題を解決するためのヒントを提示したり、業界ニュースについて説明したりとその内容は様々です。

こうして価値の高い情報を発信することで顧客に対して親身になって接する企業だということが伝わり、信頼を獲得することができます。取引する企業を選ぶ際にはやはり信頼できるかどうかは大きく関わりますから、オウンドメディアもたらすものは大きいです。

ブランディングになる

オウンドメディアを通して企業理念や、商品やサービスに対するこだわりを伝えるとブランディングになります。

たとえ他の会社があなたの会社と同じようなサービスを提供していても、自社のブランドを掲げることによって差別化することができ、さらには他社との価格競争に巻き込まれなくなります。

会社の資産になる

オウンドメディアは自社が所有するものなので、サイト内で発信した情報はどんどん蓄積していきます。

SNSやブログも書けば書くほど記事数は増えていきますが、過去記事へのアクセスがしづらく、時間が経つと誰にも見られなくなってしまいます。また、SNSやブログは外部のサービスを使うため、ある日突然削除されるリスクもあります。

オウンドメディアにはこうしたデメリットがなく、投稿した情報は会社の資産となり、いつまでも価値のある情報として発信できます。

宣伝広告費が抑えられる

企業の認知を広げる際には広告が非常に便利です。テレビCMやネット広告などを打てばその分認知は広がるでしょう。しかし、大きなデメリットがあります。それは宣伝費がかさむことです。

一方でオウンドメディアの場合は発信すればすぐに効果が出るという訳ではありませんが、コンテンツを増やしていくと検索でたどり着く人が増え、何十万円、何百万円とするような多額のコストをかけることなく、認知を広げることができます。

新商品やイベントの告知ができる

新商品や新サービスをリリースしたり、イベントやセミナーを開いたりする際には多くの人に知ってもらうことが大切です。

オウンドメディアを持っていればいつもサイトを利用する人やたまたまサイトに訪問した人に新しいサービスやイベントについてアピールできるため、成功に繋がります。

閲覧者のデータが手に入る

オウンドメディアとサイトの分析ツールと連携すれば1日の閲覧数、訪問者がどこからアクセスしたか、どんな言葉で検索されているかといった細かいデータを見ることができます。

こうしたデータを知ることで、どんな人に対して発信すればいいのか、どんな内容がアクセスを集めやすいのかといった有益なオウンドメディアにするヒントを得ることができ、さらにサイト内だけに留まらず、企業にとっても貴重な情報となります。

中小企業がオウンドメディアを持つデメリット6つ

リードの獲得に繋がったり、広告費が抑えられたりと様々なメリットがあるオウンドメディアですが、一方でデメリットもあります。デメリットをきちんと把握しておくことはオウンドメディアを上手く運用する上で欠かせません。

そこで次に中小企業がオウンドメディアを持つデメリットを6つまとめました。

専門的な知識がなければ設計が難しい

オウンドメディアのデメリットの1つは設計が難しいことです。皆さんも一度はどこかの会社の公式サイトを見たことがあると思います。そのサイトを1から作ることをイメージしてください。きっと「難しそう」、「とても一人ではできない・・・」などと感じるのではないでしょうか。

簡易的なサイトを作るのは出来ても、使いやすく、リードを獲得できるような効果の高いサイトは設計に詳しい人でなければ作るのは難しいです。そこで必然的にメディアの構築について詳しい人に依頼する必要が出てきます。

初期コストがかかる

社内にオウンドメディアの運用について詳しい人がいなければ外部のコンサルティングを依頼する必要が出てきます。もちろん、その際にはコンサルティング料やサイトの立ち上げ費用など様々なコストがかかります。そのため、初期費用はかなり大きくなります。

ただし、出来上がったオウンドメディアから多くの契約を獲得できることを考えれば決して惜しい費用ではありません。

ランニングコストがかかる

サイトは一度立ち上げたらそれで終わりではありません。サーバーの契約や管理代などで毎月ランニングコストがかかります。オウンドメディアを立ち上げる際にはこうしたコストがかかることも認識しておきましょう。

SEOなどのノウハウが不可欠

皆さんはSEOという言葉を聞いたことがありますか?これはGoogleなどの検索エンジンの検索結果で上位に表示するための調整や工夫をすることです。検索結果は上位であればあるほどサイトの訪問数は増えます。そのため、オウンドメディアを持つならこのSEOを意識することが欠かせません。

そこでSEOについて理解し、効果的なノウハウを用いながらサイトを構築しましょう。外部委託する場合はSEOについて正しく理解している会社や人を選ぶことがポイントになります。

成果が出るまでに時間がかかる

オウンドメディアの大きなデメリットといえば成果が出るまで時間がかかることです。SEOのノウハウを組み込んでも検索の上位に表示されるまでには早くても半年〜1年ほどの時間がかかります。

検索エンジンから評価されるまでにこれほどの時間がかかってしまうのです。

そのため、なかなか成果が出なくても諦めずに根気強く続けることが大切です。またサイトの訪問者数が上がるまでは早く効果が出る集客方法も併用すると良いでしょう。

記事作成に手間がかかる

自社サイトを上位表示させるためにはコンテンツ数を増やすことが大切です。具体的には記事を最低でも100個ほどは載せなくてはいけません。上質なコンテンツを作成するには時間と手間がかかります。

自社の人間が全て作成するのは大変なので、コンテンツの執筆はライターを雇って委託するという企業も多いです。

中小企業のオウンドメディアのコンテンツ例7つ 

多くの人が訪問し、信頼性を高めるオウンドメディアにするためにはコンテンツの内容にこだわる必要があります。しかし、具体的にどんなコンテンツを発信すれば良いのか分からないという方もいるでしょう。

そこで中小企業のオウンドメディアのコンテンツ例をご紹介していきます。

商品・サービス紹介

オウンドメディアでは自社の商品やサービスについて詳しく紹介しましょう。商品の内容、導入事例、開発者の思い、得られるメリットなどを紹介することで、その商品やサービスを必要としている消費者の目に留まり、導入を検討してもらえます。

サイトに訪問する人はあなたの会社やサービスに対して興味を持っているので、商品やサービスについて詳しい情報を載せておくことで新しい顧客を捕まえられるようにしましょう。

取引先インタビュー

取引先へのインタビューもぜひ載せたいコンテンツです。見込み客はあなたの会社に興味があっても「本当に成果が出るだろうか?」、「信頼できる会社だろうか?」という不安を抱いています。

そんな人にとって実際にあなたの会社のサービスを利用した人の声はとても参考になり、ポジティブな印象を持つきっかけになります。

これまで自社のサービスを利用してもらった取引先にインタビューをお願いしてみましょう。

自社のノウハウの解説

有益な情報が得られるサイトだと見ている人に感じさせるためには自社のノウハウを解説するのが効果的です。

自社のサービスを必要とする人が抱えている悩みを解決できるようなコンテンツを載せておき、役に立ったと感じてもらえれば企業への信頼性が増します。

ノウハウを載せてしまうとそれで満足してしまうのはないかと思われるかもしれませんが、顧客にとっては抱えている問題を徹底的に根本から解決することが最終目標なので、そのために力を借りようと契約に繋がります。

業界ニュース

自社に関係する業界のニュースもぜひ載せたいコンテンツの1つです。新しいニュースについて知りたいと思っても自分で1から調べて理解するのは大変です。

そこで知らない人のために詳しくニュースについて解説することでこのサイトは有益な情報を発信していると認識してもらえます。

セミナーやイベントの紹介

オウンドメディアには自社が開催するセミナーやイベントの紹介も忘れずに載せましょう。

サイトを訪問した人はサイトから役に立つ情報を得ることであなたの会社のことをもっと知りたくなったり、一度話だけでも聞いてみたいと感じます。しかし、そうした機会がどこで得られるのかが分からなければせっかくの未来の顧客をそのまま逃してしまうことになり、非常にもったいないです。

そこで興味を持った人が行動できるよう、あなたの会社と繋がる方法を明示しておきましょう。

スタッフ紹介

どんな業種のオウンドメディアでも会社のスタッフや社員を紹介していることが多いです。スタッフに関する情報が見ている人にとって役に立つのかと疑問に思うかもしれませんが、取引をする上で大切なのはやはり人です。もちろん、商品やサービスの内容も重要ですが、どんなに良い商品でも態度が悪い人や愛嬌がなく感じが悪い人からは買おうと思いません。

そこでサイトにはスタッフや社員の顔写真、簡単なプロフィール、コメントなどを載せ、信頼できる人間が働いていることをアピールしましょう。

よくある質問

使いやすいサイトにするためにはよくある質問を載せておくのもおすすめです。皆さんもサイトを使うときによくある質問というページを開いたことが一度はあると思います。

まだ詳しく知らない企業のサイトを訪問すると「どんなサービスを提供しているんだろう?」、「説明会は開かれているんだろうか?」、「どこから連絡すれば

良いのだろう?」と様々な疑問が浮かびます。こうした疑問を見越してよくある質問のページを作っておけば親切ですし、具体的に行動してもらうきっかけになります。

どんな質問と答えを用意すれば良いのか分からないという場合は競合他社のサイトを参考にすると良いでしょう。

中小企業のオウンドメディアを成功させるコツ4つ 

オウンドメディアを構築して成果を出すには手間と時間がかかるからこそ、集客の効果が出る良質なサイトを作りたいものです。そこで最後に中小企業のオウンドメディアを成功させるコツをまとめました。

目標を明確にする

オウンドメディアで成果を出すためには具体的な目標を立てることが欠かせません。

ただ自社で発信するメディアを作ろうとしているだけではせっかくサイトを閲覧してもらえてもどんな特徴を持った企業なのかが分からず、さらには有益な情報も得られず、リードの獲得には繋がらないでしょう。

そこで「商品を認知してもらう」、「月にリードを○件獲得する」、「これくらいの規模の企業に訪問してもらう」といった明確な目標を設定しましょう。そうすればその目標を達成するためのコンテンツを作るようになり、見ている人に伝わるアピールができるようになります。

質の高いコンテンツを作る

検索で上位に表示させるためには100以上のコンテンツを掲載しなければいけません。しかし、数があれば良いというわけではありません。

もし、数を優先して中身のないコンテンツを載せると企業の信頼性が下がってしまいます。反対に中身のある記事を作っていればサイトや企業の認知に繋がり、さらには検索エンジンからの評価も高くなります。

そこでオウンドメディアの構築は長い時間をかけることを想定し、良質なコンテンツを作ることを意識しましょう。

時代の流れに合ったコンテンツを作る

コンテンツを作る際には時代の流れも意識しましょう。自社が持っているノウハウや知識を淡々と紹介していくのももちろん良いのですが、時代を見極めて見込み客が知りたいと思っていることを書けばアクセスが集まりやすくなります。

そのためには常に経済や業界の情報を取り入れておくことが必要です。

効果測定を欠かさない

サイトのアクセスがある程度増えてきたら効果測定をしましょう。

どのコンテンツがよく見られているか、どんなワードで検索されているか、パソコンで見ているのか、それともスマホで見ている人が多いのかといったことを知ることでより多くの人が訪問するサイトを構築できるようになります。

効果を測定し、その結果を分析し、対策を練り、実行するという流れを繰り返すことでサイトの質はどんどん上がっていきます。

まとめ 

オウンドメディアとは自社で所有し、顧客や見込み客に向けて発信する媒体のことです。

中小企業がオウンドメディアを持つことによって自社の商品やサービスを知ってもらう機会ができたり、リードの獲得が増えたりと売上に繋がるメリットが得られます。

オウンドメディアで集客の成果を出すには1年ほどの長い期間を要しますが、得られるものは大きいので、見ている人の役に立つ良質なサイトにすることを意識しながらコツコツと構築していきましょう。