はじめに。

今回は、変化は徐々に現れるのではなく、突然やってきて、変化をもたらすということをテーマにしていきます。

そして、その「変化」という視点を、経営者が長期的な計画を立てる時や、世の中の流れを見る時、経営者自身の身の振り方を考える時などを事例に、考察していきます。

変わっていくものの中に、変わらないものを見出し、変わらないものの中に、変化を見出すような記事になればと思います。

経営者の長期的な視点。

大企業などでは、業績発表が定期的になされていて、同時に、次期の見込みの予定が発表されています。

ただ、これは、あくまでも同じ業務の内容を前提とした上で、見通しを立てています。

でも、実際には、その仕事が今後にも存在しているかどうかわからないし、今回のコロナのように、突然降ってきた予期せぬアクシデントが起こるとも限りません。

こう見ていくと、新規事業は、既存の事業の延長線に存在しているように見えますが、実際に、新しい事業展開は、既存の事業の上に成り立つ場合が多いからです。

しかしながら、実際には反対のようにも見えて、現実には、まだ見ぬ新しい事業が、既存事業の価値を決めているからです。

例えば、今までやってきた事業を親だとすると、これから行う新しい事業は子どもと見ることができます。

一見すると、既存事業(親)のおかげで、新規事業(子)を行うことができているように見えます。

しかしながら、実際には、新規事業(子)が既存事業(親)の価値を決めています。

理由は、将来的な既存事業(親)の価値を担っているのは、新規事業(子)の方だからです。

つまり、既存事業(親)が新規事業(子)を食わせているのではなく、新規事業(子)によって既存事業(親)が生かされているということです。

働き方の変化を見る。

変化というものは、徐々に現れてくるように見えますが、実際には、ある時突然やってきて、一瞬にして変化をもたらします。

以前であれば、あまり伝わらなかった感覚でしたが、今回のコロナの一件にして、一挙に理解してくれる人が増えたように思います。

でも、変化というものは、ずっと前からこのような性質を持ち併せています。

なので、変化してから、その変化に合わせるのではなく、こういう性質を持っているということを、あらかじめ知ったうえで、どのように事前に組み込んでおくかということが、要所になってきます。

これは働き方の変化に関しても言えて、コロナ発生以前から、テレワークとか、時差出勤とか、他にもいろんな方法が検討されてきました。

しかしながら、平時の時には、ほとんどの人が動こうとせずに、このままずっと同じ体制が続けば良いと思っていたところもあると言えます。

かつてであれば、土曜日半日出勤で、週6日勤務が主流でしたが、今では週5日勤務が主流です。

でも、それは、その時代にとって、という話に過ぎません。

10年以上前には、スマートフォンというものは無かったし、通信規格も4Gではありませんでした。

時代を構成している前提条件からして違うのに、働き方だけそのままというのは、何か違和感を覚える部分でもあります。

会社のトップに、気持ちの変化があっても良い。

それは、会社のトップを担う経営者も同じことで、別に10年間、その会社の経営者をしていたからといって、この先を続けなければならないというわけではありません。

自分が立ち上げて創業したにしても、前任の経営者から引き継いで、経営者になったにしても、仮に10年続けたとすれば、歳も取っているし、事業に対する考え方に変化があって当然です。

例として、10年を挙げましたが、何も10年経たなくても、その経営者自身の中で、その会社の経営に対して、一巡した感があれば、もうすでに、気持ちに変化が現れていると言えます。

会社を経営しているということは、従業員はいるし、取引先との関係もあると思います。

ただ、それは、その人が経営者でいなければならない理由にはなりません。

実際に、会社を他の人に事業承継して、経営者を代わってもらうことはできるし、会社の一部門として、新規事業の部門を作る方法もあります。

「これはこういうもの」とか、「これはこのように対応するべき」と思った瞬間に、「それは本当か」と疑うと同時に、現在の環境では、どのような立ち位置に立っているのか、という視点も併せておくと良いと言えます。

もちろん、100:0で考えてしまうのも危険です。

変化は突然起こるからといって、立ち位置を突然全て変えてしまう必要はありません。

なので、既存事業を全て捨てて、新規事業に全てをかけたい人はそれでも良いですが、比率が5:5でも7:3でも、100:100でも問題ありません。

変化は突然やってきて、突然変わる。

小学校の時のプールの授業で、いきなり飛び込んで怒られた経験があるでしょうか。

突然、何の話かと思ったかもしれません。

論文ならまだしも、このコラムに関して言えば、文章の中でテーマの一貫性がなくても良いと考えています。

もちろん、お伝えしたいことは多々あるのですが、本質的に大きなテーマは、それほど多くはありません。

なので、最終的には、どの記事でも、同じようなことを言っています。

そして、これをお読み下さっている経営者の方の中には、お気づきの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一般的な読み手ならば、「どの記事も同じようなことを書いている」ということ伝えたら、読む気がなくなってしまいます。

ですが、こうした背景を語ることは、本質的な思考と日々向き合う、読んで下さっている方への敬意にもつながると考えています。

そして、大切なのは、「同じことを書いている」のではなく、「同じようなことを書いている」としたことと、何の部分に対して「同じ」と表現しているのか、ということです。

全く同じ「内容」なのだとしたら、それはただのコピー文章ですから、読んでも仕方がありません。

でも、別の部分に対して、「同じ」と表現しているのであれば、それはどこの部分に当たるでしょうか。

これは、経営者が経営課題に対して向き合う時と、同じ姿勢であるように見えます。

おわりに。

プールの部分の説明をしていなかったので、それをして、今回の記事は終わろうと思います。

小学校のプールの授業で、おそらくなのですが、いきなり飛び込んだ人は、そう多くはないと思います。

準備体操もしたと思いますし、体に水をかけて、水温に体を慣らしてから、足先から水に足をつけて、バタ足で体を動かして、水に慣らしつつ、体のエネルギーを高めていたはずです。

そして、最後に、ようやく入水して、泳いだり、練習したりしたと思います。

先ほど、「同じ」というところに関して、少しお伝え致しましたが、この記事でお伝えしてきた「変化」という言葉に対しても、同じ指摘ができます。

「変化は突然やってきて、突然変わる」と表現しましたが、それは何の変化を指し示していて、どこに対して、それは突然変わるのか、ということです。

変化という事象そのものは、確かに、突然やってきて、突然変化をもたらします。

でも、それは、会社の事業に対してもそうなのかと言えば、そうではないということです。

そのため、プールの例を出して、急に飛び込んて、体に負荷をかけないようにしていたことを、併せて追記したのです。

変化という事象と、実際の会社の舵取りは、切り分けて考えるということです。