はじめに
今回は、「他社が忌み嫌う部分に、目を向ける企業はどれだけあるか」というテーマで、お届け致します。
他者との「差別化」というテーマは、繰り返しお伝えしておりますが、やはり、何度取り扱っても、重要なテーマだなと感じます。
一般的に、多くの企業では、すでに売る必要のある商品が決まっていることが多く、それをどのようにして売りさばくかというテーマになりがちです。
でも、本当にそれで良いのでしょうか。
今回は、そのあたりから、考察を始めたいと思います。
最初から売る商品だけは決まっている、という不思議な話。
商社や卸売り業を中心に、売る商品はすでに決まっている業種も多いです。
むしろ、仕入れる商品に自由度が高く、販売手法も自由に選べるということのほうが、今では珍しいことなのかもしれません。
ですが、原点に立ち返る必要があるのは、なぜ、そのような商売の流れになっているのか、という点についてです。
「人と違った着想」を得ようと、本を読んだり、セミナーに参加したり、あるいは、経営コンサルティングを受けたりしている企業は、世の中にたくさんあります。
でも、「そもそも自社はなぜその事業をしていて、どうして現在のような商売の枠組みを形成しているのか」について、お忙しくて、なかなか考える時間がないようです。
ただ、他の企業との差別化を考える上で、一番重要なのは、他の企業が「忌み嫌ったり、聖域と称して改革をしたがらないところ」をつく必要があるという事実です。
もしも、簡単なことや誰にでもできそうなことで、他の企業との差別化を図ることができるとしたら、もうそれはすでに、他の企業が進んで取り組んでいるはずだからです。
そのため、「これは新しいな」と考えて、行動に移そうとする時は、「本当に、新しいことなのか」ということと、まだ誰もやっていないのかどうかについて、少し立ち止まって考えたほうが良いかもしれません。
もちろん、少し考えた上で、「まだ誰もやっていない」のだとすれば、他社がやらない理由を考えた上で、それが単に慣習的に、その業界でなされていないだけのことだとすれば、試しにやってみれば良いのです。
少し考えれば、誰にでも思いつきそうなことは、世界の誰かがすでにやっているという前提に立ったほうが、かえって発想は豊かになると言えます。
では、先ほど取り上げた、「他の企業が忌み嫌っている部分や、聖域と称して改革をしたがらないところをつく」という点について、次の章では見ていこうと思います。
他社がやりたがらないところが、実は必要な部分であることも多い。
今見てきたように、差別化というのは、基本的に、誰でも考えているし、誰でもすでに取り組んでいます。
そして、現在、この記事をお読みいただいている間にも、他の企業では新しい販売手法や販売商品、新しい展開など、着々と進めているかもしれません。
ですが、この記事のような、「検索では引っかからないような記事」を読むことは、すでに差別化の慧眼を持ち合わせているようにも感じます。
理由は、一般的に売られているような書籍はもちろん、セミナーやコンサルティングであっても、必要な情報については、すでに出回り尽くしていると考えて、差し支えないからです。
となると、逆説的なようでいて実は、「誰も読まないようなもの」や「誰もが軽視して通り過ぎているようなもの」に目を向けている時点で、すでに他社との差異はできていると言えるのです。
例えて言えば、路傍のタンポポに気を留めて、眺める余裕があるかどうか。
そうした日常のちょっとした差異に、「美しさ」や「新しさ」を見出せるかどうかで、自社と他社を分ける視点が見えてくると言えます。
では、「検索では引っかからないような記事」や、「誰もが軽視して通り過ぎているようなもの」は、どうして存在していて、なぜそこに気を止める人だけが、他社から一歩抜けることができるのでしょうか。
最後にこの点について、考察を加えていき、この記事を終えたいと思います。
違いを出そうとすればするほど、同じになる。
このようなタイトルをつけると、必ずと言っていいほど、「じゃあ、今までと同じで良いではないか」と言ってくる人がいます。
もちろん、現状維持で困っていないのだとすれば、それで良いと思いますし、そもそもそう言ってくる企業は、当社の顧客にはなり得ません。
なので、そうした企業は、掃いて捨てるほどある経営コンサルティング企業を探して、サービスの提供を受ければ良いと思います。
ただ、こうした検索に引っかかりもしない「よくわからない記事」を、読み解くことのできるほどの経営者の方なので、
「違いを出すほど、同じになる」ということは、たとえ現時点で言語化できていなくても、肌感覚としては理解できていると思います。
なので、その点については、問題ありません。
あとは、いかにして「他社が忌み嫌っている部分」に、自社では着手するかという点になると言えます。
同業他社が嫌っているということは、当然、自社にとってもネックになっている場合も多いです。
ただ、正直なところ、「同業他社との差別化」という発想が、選ぶ顧客からすれば、もうすでに同業他社でも自社でも、どちらでも良い印象を与えてしまっています。
そのため、「明らかに難しい」とされているサービスや、「明らかに売れない」もしくは「価値を感じてもらうことが難しい」商品・サービスを提供していく必要が出てきます。
もちろん、それは粗悪品を売りつけるという話ではありません。
そういう企業は、一瞬でネットでさらされて、干されますから問題ないですが、そうではなく、
「本来は重要でじっくり取り組む必要のある商品・サービス」なのに、すぐに売れないという理由で後回しになっているようなものに、自社では目を向ける必要があります。
他社が向き合わずに後回しにしがちな、「急ぎではないけど重要なこと」について、いかに目を向けてもらい、価値を感じてもらうことができるか。
単純なモノ売りや、サービス提供業者で終わらない企業は、そこが違うと言えます。
おわりに
さて、今回は「他社が忌み嫌っている部分」に、いかにして目を向けることができるか、という点について、考察を加えてきました。
「できそうなことは、すでに他社でもやっている」という発想とともに、「何かしらの理由」で、手をつけたがらないところこそ、見直しておきたい視点であると言えます。