はじめに。

今回のテーマは、「経営者が見える世界は何色か」ということで、お送りしたいと思います。

ブログの記事でも、度々テーマとして、「色」についての考察をしていますが、経営者の見える景色という視点から、「色」についての考察を加えていこうと考えています。

というのも、経営者の悩みや不安は、会社に属する社員とはまた違ったものになっていて、社内でその気持ちを共有できるのは、自分自身だけであることも多いからです。

その点で、「色」という視点を通して、経営者の日々の思考に思いを巡らすことができればと思います。

経営者自身が死んだとしても、脈々と生き続ける会社。

会社の寿命が、一般的な人が送る社会人生活の年数に比べて、どんどん短くなってきている現在ですが、一方で、創業した経営者が亡くなった現在でも、脈々と生き残っている会社もあります。

言い換えれば、経営者自身の寿命より遥かに短い間に倒れてしまう会社と、創業した経営者より、長生きする会社があるということです。

では、そこにはどんな違いがあるのでしょうか。

実際には、さまざまな要因があり、どれがその原因かを特定するのは困難です。

ですが、その大きな要因の1つを挙げるとすれば、それは「色」にあると言えます。

つまり、創業者として会社を立ち上げた経営者も、それを脈々と受け継いできた経営者にも、すぐに倒れてしまう会社の経営者にはない、「色」が見えているということです。

そして、これは、時流が読めるとか、将来を先取りできるとか、そういった類のことではありません。

理由は、創業経営者より、その会社の方が長生きしている会社が、必ずしも流行の先取りや、日本より先を進んでいた欧米諸国の文化を輸入したことで、その企業の地盤を作ったとは限らないからです。

脈々と続いている企業は、時代に合わせて進化を続けている企業ではありますが、その屋台骨を支えている事業は、むしろ、新しいものというより、古くてどこにでもあるものを見直したことであることもしばしばです。

よって、先見性や時流の読み、勘のようなもので、ここまで会社の命をつないできたわけではないことがわかります。

ではここからもう少し、長く続く会社の創業者と、受け継いだ経営者に見えている「色」について、考察を深めていきましょう。

立ち上げ当初から、会社が長く続いた時の「色」について見えていた経営者。

先ほどのところで、早く会社を潰してしまう経営者には見えず、長く続く会社の経営者には見えている「色」について、少し触れてきました。

そして、それは、先見性や時流の読みといったことではない、ということもお伝えしました。

では、そこにはどんな違いがあるのでしょうか。

それは、今でも続いている会社が、赤ちゃんの時から、現在の状態を読み取って、育ってきたということです。

こう書くと、やはり先見性の話になるのでは?と感じる方もいらっしゃると思います。

ですが、それは将来の先取りでも、先見性でもありません。

なぜなら、何が流行るかとか、将来どんな時代になるから、こうした事業にしようとか。そういう考えではなかったからです。

つまり、1番大切なところでは、周囲がどうとか、時代がこうなるからどうするとか、そういったことを考えなかったからこそ、その会社は今でも続いていると言えます。

移り変わる時代に、経営者が見ている「色」。

よく時代は変わるとか、新しい時代の到来とか、そういった表現で言い表すことがあります。

ですが、古かった時代など、本当にあったのでしょうか。

さすがに最近では、言う人も言われる人も、ほぼ消えましたが、「最近の若物は」と言う言葉もその1つです。

いつの時代の若者も、年長者からすれば「得体の知れない」存在です。

むしろ、年長者に理解されるような若い人がいたとすれば、それはもうその時代の終わりと言うか、この世の終わりと言っても言い過ぎにはならないと言えます。

これは、時代の移り変わりに関しても、同じことが言えて、移り変わる時代も、新しい時代も、いつも来ていて、いつも来ないのです。

すぐに潰れる会社の経営者には見えず、長く続く経営者に見えている「色」の正体は、こうした視点に隠されていると言えます。

そして、これは、知識や経験ではどうにもなりません。

経験則的に身につけようとすれば、途方もない時間がかかりますし、知識としてこれを身につけようにも、何が知識として必要なことなのか、それを知ることができないからです。

言い換えれば、知識を身につけようにも、何が知識なのかわからない状態であると言うことです。

そのため、どれだけ情報化社会が進化したとしても、潰れる会社の経営者はいなくならないですし、長く続く会社の経営者もいなくはならないということが言えます。

おわりに。

今回のテーマは、「経営者が見える世界は何色か」ということで、ここまでお伝えしてきました。

そして、今回の記事の中には、具体的に何色かということについては、触れることなく、その存在そのものについて考察を加えてきました。

実際に、経営者によって、何色に見えるかは人それぞれだと思います。

中には、水墨画のように白と黒のモノトーンで表現している人もいれば、透明という色を通して、その世界を見つめている経営者もいると言えます。

ですが、さまざまな経営者が、いろいろな色を通して表現している思考には、やはり共通している考えがあり、「色」があります。

そして、この経営者が見ている「色」は、その経営者自身では気が付かないことも多く、仕事を通して至る所で出会う、他の経営者によってもたらされることも多いです。

経営者自らの鏡ともいうべき、周囲に存在する経営者は、その経営者の見ている「色」を決める要因ともなるとともに、その経営者の見ている「色」そのものを決めかねない存在であるとも言えます。

ですが、鏡とは異なり、周囲の経営者は、その経営者そのものを映し出すわけではありません。

その点で言えば、経営者自身は、その「色」を濁すことなく、将来の「色」を眺めながらも、現在地点における「色」を見つめる必要があると言えます。