はじめに

今回のテーマは、「事業とは、ある種のアートである」です。

当社では、経営コンサルティングを中核として、ウェブ制作やソーシャルネットワーキングサービスを用いた、総合的な助言をさせて頂いております。

一見すると、似たようなサービスは五万とありますし、顧客からしてみれば、誰にやってもらっても、同じようなものになるのではないかと、話される方もいらっしゃいます。

ですが、この記事をお読みくださっている経営者の方もわかっていらっしゃると思いますが、御社においても、他社のそれと自社のそれは、似て非なるものです。

そして、おそらく御社では、自社の他社とは違った点を、言語化することができているものと思います。

この部分を前提とした上で、なぜ「事業とは、ある種のアートである」のか。

今回は、この部分からスタートしていきたいと思います。

「事業とは、ある種のアートである」

さて、今回の記事を進めるにあたって、なぜ、冒頭の部分で、「自社の他社とは違った点を、言語化することができている」ことを前提に、お話しを進めていくことを、わざわざ提起したのでしょうか。

これは、「アート」という言葉が、とても便利な言葉であるからです。

よく何でも芸術作品とか、アートとか言っておけば、ある程度理由付けができるような向きがあります。

言い換えれば、大して何にも考えられていないのに、あたかも、それが考えられているかのような見せ方だけで、食いつないでいるということです。

ですが、実際には、アートこそ作法があり、礼儀があり、その理由と説明があります。

なぜなら、「何となく、このように感じる」では、誰もが納得するような説明にはならず、誰にも買ってもらえないため、事業としては成立しないからです。

ただ、同時に、逆説的な論理でもありますが、ルール以上に、「好き嫌い」のある世界です。

どんなに、著名な評論家が絶賛したところで、その作品と自分の好みが合わなければ、作品と自分自身が交差することは、永遠に訪れません。

この事実は、何かに似ていないでしょうか。

そう、それが、この章のテーマでもある「事業とは、ある種のアートである」なのです。

つまり、似たような事業はあまたあるにしても、好き嫌いが当然あって、合う合わないも当然あるからこそ、事業はアートの側面を持っていると言えます。

また、アートだからといって、顧客に説明できなければ、お金を支払っていただくことはできません。

なぜなら、支払う理由が生まれなければ、支払うことは永遠にないからです。

反対から見ると、支払う理由が見つかった時に初めて、ようやく、その事業は成立できると言えます。

では、そんなある種のアート作品である事業が、なぜ成り立ったり、成り立たなかったりするのでしょうか。

次に、この部分について、見ていきたいと思います。

成り立つ事業と成り立たない事業。

詳しいお金の計算とか、公式とか、損益分岐点が…みたいな話は、いくらでも転がっているので、ここでは飛ばして、そもそも「価値を認めてもらう」ということが、どのようにして成立するのかについて、考察を加えていきます。

先ほど、事業はアート作品のようなもので、当然のことながら、どんなに著名な評論家が絶賛したところで、自分自身にわからないものは、その価値を見出すことは困難であることを、お伝えしました。

普遍的な価値を認められて、美術館に展示されているような絵画であっても、見に行った本人に、その価値が伝わらないこともあります。

もしくは、「価値のある絵画」なのだな、と知識的には理解することはあっても、心底、「それが良いものである」と思えるかは、別であると言えます。

これは、事業の内部構造分析にも似ていて、普遍的な事実として、集客をして、販売をしなければ、事業の継続は難しくなると言えますが、

具体的に、どのように集客をして、最後の販売(入金)工程に結びつけるかは、各社によって段取りも道筋もゴールも異なるのです。

だからこそ、顧客に合わせた診断と見立てを行った上で、オーダーメイドの処置を施していく必要があると言えます。

絵画にも作法とルールはあるが・・・。

当然のことながら、アート作品には、一定のルールがあります。

アートだからといって、何をしても許されるわけではないのです。

ですが、同時に、作法とルールを知っているだけで何とかなるほど、容易な世界でもありません。

受験テクニックで大学合格するようなもので、それ自体は何も問題ないのですが、こと事業に関しては、そんな最大瞬間風速的な方法をやっても長続きしません。

事業の場合は、その場でうまくいくことも大切ですが、それ以上に、その後も継続してうまくいき続けるための、土壌を育て続けていく必要があるからです。

一般論で、理論的にはうまくいくことであっても、その作品の表面の上辺だけを汲み取ったような事業では、その経営者が舵を取る「事業」とはなり得ません。

もしそのようなものであれば、他の代替物でも問題ないからです。

反対に、作法やルールを踏襲していても、「この事業は、確かにその企業にしかないものだ」という、にじみ出てしまう個性のようなものに、あふれている事業も数多く存在しています。

他社の似たようなサービスと一緒にされてしまうような事業になるか。

個性ばかりを重視して、誰からも支持されない意味不明な事業になるか。

基礎を踏襲してもなお、個性にあふれてしまい、顧客に支持され続ける事業になるか。

それこそ、個性の出る施策であると言えます。

おわりに

今回は、「事業とは、ある種のアートである」ということについて、お伝えしてきました。

アートという言葉は使い勝手が良いために、かえって誤解を招くことも多いものです。

本文で載せている3つの例のうち、前半2つの事業になってしまっている企業も少なくありません。

そして、そうなっている企業ほど、自社のアートを、言語化できているところは多くありません。

しかしながら、この記事をお読みいただいた方には、そうした誤りを防ぐことができる方ばかりであると言えます。

なぜなら、基礎の踏襲の重要性を踏まえた上で、自社のアート(事業)を育て続けているからです。