この記事では次の内容をまとめています。

・LTV(顧客生涯価値)とは?
・LTV(顧客生涯価値)の計算方法
・LTV(顧客生涯価値)を高める施策の具体例

LTVという指標を扱うべきか悩んでいる方が知っておくべきことを全てまとめました。

LTV(顧客生涯価値)とは?

LTVとは”Life Time Value”の頭文字をとったもので、顧客生涯価値という意味です。

LTVは顧客が企業との取引を行う期間中にもたらす総利益を指します。

1回だけ商品を購入する顧客よりも、2回、3回とリピートする顧客の方がLTVは高いです。

LTVを把握することで、1人または1社の顧客がどれだけ企業の成長に貢献しているかを可視化できます。

近年は新規顧客の獲得コストが高まっているため、既存顧客との関係を強化し、LTVを向上させることが重要視されています。

LTV(顧客生涯価値)が高い企業とは?

LTVが高い企業は顧客と長期的な関係を築き、継続的な売上や利益を生み出しています。

この背景には

・顧客の企業に対する信頼度が高い
・製品・サービスへの満足度が高い
・クロスセル・アップセルによって顧客単価を増やしている

といった理由があります。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法

LTVの計算式は様々です。LTVの代表的な出し方をまとめました。

最もシンプルな式

LTV = 購入単価×購入頻度×継続期間

利益を考慮する場合

LTV = 購入単価×購入頻度×継続期間×粗利率

顧客の獲得・維持コストを考慮する場合

LTV = 購入単価×購入頻度×継続期間×粗利率−(新規獲得費用+顧客維持費用)

サブスクリプション型サービスの場合

LTV = 購入単価 ÷ チャーンレート

LTV(顧客生涯価値)を高めるメリット5つ

この章ではLTVを高めるメリットをご紹介します。

1.顧客獲得コストを抑えられる
2.注力すべき層が分かる
3.継続して安定した売上を確保できる
4.顧客ロイヤルティによる競合との差別化ができる
5.口コミが発生する

顧客獲得コストを抑えられる

LTVが高まると、既存顧客から得られる売上や利益が増え、新規顧客の獲得に依存せずに済みます。

一般的に新規顧客の獲得は既存顧客の維持にかかるコストの5倍必要と言われており、LTV向上はマーケティングや営業活動の費用対効果を高めることに繋がります。

注力すべき層が分かる

LTVの分析により、どの顧客層が企業に大きな利益をもたらしているかが見えてきます。

この層に対して営業やマーケティングのリソースを集中させることで、より効率的な顧客獲得や売上拡大を実現できます。

継続して安定した売上を確保できる

LTVが高いということは顧客が

・長年にわたり商品を購入・契約している
・累計の購入金額が多い

ということです。

そのため、一時的な受注や単発案件に依存せず、安定した売上基盤を構築できます。

また、将来の収益を予測しやすくなるため、事業計画や投資判断も行いやすくなるメリットもあります。

顧客ロイヤルティによる競合との差別化ができる

顧客ロイヤルティとは顧客が企業の商品・サービスに対して感じている信頼や愛着のことです。

これが高ければ高いほど、購入頻度は高くなり、アップセルやクロスセルへの反応も良く、購入単価が上がります。

こうした顧客がいれば競合他社との価格競争に巻き込まれにくく、差別化に繋がります。

口コミが発生する

顧客ロイヤルティが高い顧客は企業への信頼度が高いため、口コミや紹介を通して新規顧客を連れてきてくれることがあります。

口コミや紹介によって獲得した顧客は成約率が高い傾向があり、広告費を抑えながら新たな顧客を増やせます。

LTV(顧客生涯価値)を高める施策の具体例12選

この章ではLTVを高めるための具体的な事例をご紹介します。

1.商品やサービスの単価を上げる
2.商品やサービスの内容や価値を高める
3.クロスセルやアップセルで購入単価を上げる
4.購入頻度を高くする
5.Q&Aを充実させる
6.手厚いカスタマーサポートを届ける
7.購入者限定のイベントやセミナーを開催
8.契約年数に応じた特典を用意する
9.解約が多いタイミングを特定する
10.解約時にアンケートをとる
11.顧客獲得コストを下げる
12.原価率を下げる

商品やサービスの単価を上げる

LTVを高める方法の一つが、商品やサービスの単価を上げることです。

ただし、意味もなく、ただ値上げするだけでは顧客離れを招く可能性があります。

特に、価格の安さを理由に選ばれている場合は逆効果になるでしょう。

そのため、市場や競合の様子を見ながら、提供価値に見合った価格設定を行うことが重要です。

商品やサービスの内容や価値を高める

商品・サービスの価値が高ければ、満足度も上がり、リピート率は向上するでしょう。

価値を高めるには

・機能の追加
・品質改善
・サポート体制の強化

こうした施策が効果的です。

クロスセルやアップセルで購入単価を上げる

クロスセルとは購入商品の関連商品を勧めること。

アップセルとは顧客が購入した、もしくは購入を検討している商品よりも上位モデルのものを提案することです。

どちらも購入単価を上げることを目的としており、LTV向上に繋がります。

購入頻度を高くする

顧客が商品やサービスを利用する回数を増やすことでもLTVは上がります。

そのためには顧客との接点を増やし、適切なタイミングでアプローチすることが大切です。

例えば

・定期的な情報発信
・キャンペーンの実施
・定期購入プランの導入

といった施策が有効です。

Q&Aを充実させる

解約率を下げるための施策です。

よくある質問をまとめたQ&Aページを充実させれば、顧客は疑問や不安をすぐに解消でき、商品・サービス利用時のストレスを減らせます。

また、最近はチャットボットを利用し、AIによって対話形式でサポートするケースもあります。

企業にとっては問い合わせの負担を減らせるというメリットもあります。

手厚いカスタマーサポートを届ける

全ての疑問がQ&Aだけで解決するわけではありません。

そこで、顧客からの直接の問い合わせにすぐに対応できる体制を整えましょう。

・電話、メール、問い合わせフォーム、チャットなど様々な手段を用意する
・迅速に回答する
・対応の品質を上げる

このように顧客に寄り添ったサポートを行うことで信頼関係を深められます。

購入者限定のイベントやセミナーを開催

使い方やノウハウを学べる顧客限定のイベントやセミナーを開催すると、顧客との関係をより強固にできます。

商品・サービスの活用方法を学べる機会を提供することで利用価値が高まり、継続利用を促進できます。

また、顧客同士の交流が生まれることでロイヤリティ向上にもつながります。

契約年数に応じた特典を用意する

長期間利用している顧客に対して特典を提供することで契約の継続を促進できます。

例えば

・会員ランクの導入
・割引
・VIP限定イベント

といった特典があると、顧客は長く利用するメリットを感じやすくなり、競合他社への乗り換え防止になります。

解約が多いタイミングを特定する

解約率が高ければLTVはいつまで経っても上がりません。

そこで、顧客が離脱しやすいタイミングを分析して、解約率を下げる方法を考えましょう。

例えば、契約更新前に解約が集中している場合、契約更新の時期になったらフォロー施策を実施することで継続率の改善が期待できます。

解約時にアンケートをとる

解約理由を把握することはLTV改善に欠かせません。

解約時にアンケートを実施すれば、サービスへの不満、改善点、ニーズを把握できます。

得られたデータを商品開発やサポート体制の見直しに活用することで、将来的な解約率の低下に繋げられます。

顧客獲得コストを下げる

LTVの計算式には顧客の獲得・維持にかかったコストが含まれるものもあります。

そのため、顧客獲得コストを下げることでもLTVを高められます。

例えば

・集客を広告に依存しない
・紹介制度を作る
・反応率が高い顧客層にアプローチする

このような施策を行うことで顧客獲得コストを抑えられます。

LTVが上がるだけでなく、利益が増え、経営にも大きなメリットがあります。

原価率を下げる

・仕入れ先の見直し
・業務効率化
・生産工程の改善

などを行い、原価率を下げれば、利益ベースで算出するLTVは高くなります。

LTV(顧客生涯価値)を高める施策を行うときの注意点3つ

この章ではLTVを高める施策を行う際に注意すべき点をご紹介します。

1.既存顧客離れを引き起こすことも
2.LTVの数値だけで顧客の状況を判断しない
3.新規顧客の獲得施策も行う

既存顧客離れを引き起こすことも

商品・サービスの値段を上げることは顧客単価を上げる方法の1つですが、ただ闇雲に値上げすると顧客離れの原因になり、解約や競合への乗り換えを招きます。

値上げを行う際はサービスの中身を充実させるなど、顧客にとってのメリットを明確に伝えながら段階的に進めることが重要です。

LTVの数値だけで顧客の状況を判断しない

LTVは自社の顧客の状況を把握する上で有効な指標ですが、必ずしも正確に判断できるわけではありません。

例えば、現在の売上や利益が低くても、将来的に大きな取引に繋がる顧客が存在します。

また、長く利用している顧客も企業やサービスに満足しているから継続しているのではなく

・解約の方法が分からない
・他社への乗り換えると手間がかかるから使い続けているだけ
・担当者との付き合いがあるので継続している

このように、決して前向きとは言えない理由で使い続けていることもあります。

そこで、顧客満足度、利用状況、問い合わせ内容なども含めて総合的に分析し、適切な施策を検討することが大切です。

新規顧客の獲得施策も行う

新規に比べて獲得コストが安い既存顧客ですが、こちらがどれだけ対策をしても、将来的に解約や取引の規模縮小の可能性があるため、新規顧客の獲得も欠かせません。

そのため、LTVを高める施策だけに集中するのではなく、新規顧客の獲得にも並行して力を入れましょう。

LTV(顧客生涯価値)を高めるために使えるツール3つ

この章ではLTV向上に役立つツールをご紹介します。

1.MAツール
2.CRMツール
3.チャットボット

MAツール

MAとは”Marketing Automation”の略で、見込み客を獲得・育成し、商談化に繋げるまでのマーケティング活動を自動化するツールです。

顧客の行動や興味関心に応じてメール配信や情報提供を行うため、適切なタイミングでアプローチできます。

休眠顧客の掘り起こしやアップセル・クロスセルの提案にも活用できるため、LTV向上に役立ちます。

CRMツール

顧客情報や、問い合わせなどの行動履歴を一元管理するツールです。

顧客ごとの状況を把握できるため、ニーズに合わせた提案やフォローを実施しやすくなります。

その結果、顧客満足度の向上や解約防止に役立ち、長期的な関係を構築できます。

チャットボット

顧客からの問い合わせに自動で対応するツールです。

24時間365日いつでも対応可能なので、顧客は必要な情報にすぐアクセスでき、疑問も解消できて、利便性の向上に繋がります。

また、よくある質問への対応を自動化することで、サポート担当者の負担軽減になるメリットもあります。

ただし、チャットボットだけでは問題を解決できない場合もあるので、有人サポートに繋げる仕組みも用意すると良いでしょう。

LTV(顧客生涯価値)の計算に関わる指標

この章ではLTVの計算に関わる指標をご紹介します。

ARPA・ARPU

ARPAは”Average Revenue Per Account”の略で「アカウントごとの平均売上」、ARPUは”Average Revenue Per User”の略で「ユーザーごとの平均売上」を意味します。

それぞれ「売上÷アカウント数(またはユーザー数)」で求めることができます。

CAC

CACは”Customer Acquisition Cost”の略で、顧客一人を獲得するのにかかった費用を表すものです。

「顧客獲得にかかった総コスト÷新規獲得顧客数」で求められます。

「顧客獲得にかかった総コスト」には広告、営業、イベントにかかった費用などが当てはまります。

MQL・SQL

MQLは”Marketing Qualified Lead”の略で「マーケティング活動によって獲得した見込み度の高い顧客」、SQLは”Sales Qualified Lead”の略で、MQLの中でも特に見込み度が高く、営業が優先してアプローチすべき顧客のことを指します。

これらの顧客を明確にし、集中して働きかけることで、顧客単価の増加や、長期契約に繋がります。

チャーンレート

チャーンレートとは解約率のこと。

「一定期間に解約した顧客数÷期間当初の顧客数」で求めます。

例えば、ひと月の間のチャーンレートを求めたい場合、1ヶ月間に解約した顧客数を月の始めの顧客数で割れば数字を出すことができます。

ユニットエコノミクス

顧客一人当たりの採算性のことで、「LTV÷CAC」で出すことができます。

値が3以上であればビジネスは健全であると判断されます。

一方で、下回る場合はCAC(顧客獲得コスト)がかかりすぎており、事業の収益性が低いことを表します。

いくらLTVが高くても事業が赤字になっては意味がないので、ユニットエコノミクスで健全性を定期的に確かめることが大切です。

LTV(顧客生涯価値)の使い方

LTVはただ値を出すだけでなく、各施策に活用することが重要です。

LTVが高い顧客は将来的に長く取引し、多くの利益をもたらす可能性が高いです。

そこで、営業活動やマーケティング施策ではこうした顧客に注力しましょう。

例えば、広告を出す際にターゲティングすることで、限られた経営資源を効率的に活用でき、投資対効果の向上や利益の最大化に繋がります。

まとめ

LTVとは顧客生涯価値という意味で、一人の顧客が企業との取引を行う期間中にもたらす総利益を示します。

新規顧客は既存顧客に比べて獲得コストが5倍ほどとコストがかかるからこそ、LTVを向上させ、顧客との関係を強化していくことが重要視されています。

顧客と長く取引できるよう、今回ご紹介した施策にぜひ取り組んでください。